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大人のおしゃれ手帖 12月号

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大人のおしゃれ手帖
2024年12月号

2024年11月7日(木)発売
特別価格:1650円(税込)
表紙の人:天海祐希さん

2024年12月号

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【木村多江さんインタビュー】
「今回の舞台でも、
たくさんのインプットを得て、成長したい」

大人のおしゃれ手帖編集部

【木村多江さんインタビュー】 「今回の舞台でも、 たくさんのインプットを得て、成長したい」

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この日訪れたのは、都内にいながらも、パリの空気を感じられるフランス語学校。

「近くの学校に通っていたので、ここの存在も知っていたけど、中に入ったのは初めて。壁に絵が描いてあったり、カラフルな椅子が並んでいたり……。一つひとつがかわいらしくて気分が上がるし、フランスのエスプリが感じられますね」

日常における「ときめき」が、最近の木村さんのキーワード。ファッションでも、いつもの格好に挿し色や小物をプラスすることで、心がときめくと話します。

「みんなが1枚は持っているシンプルなボーダーやデニムでも、赤のフラットシューズをはいたり、スカーフを巻いたり、眼鏡をカラフルなフレームにしてみたり。それだけでも変わりますよね。人生ってときめきが大事だから、ファッションでも日常生活でも、ときめき上手を目指したいですね」

木村さんにとっては、パリの街もときめきが得られる場所のひとつだそう。

「去年プライベートで行ったのですが、セーヌ川沿いに立つだけでも心がときめくんですよね。ルーブル美術館とモネの睡蓮が展示されているオランジュリー美術館へ行って、雨の中を2時間くらい並びましたが、そうやって美を待ち望む時間が、なんだかとてもよくて。
日本では絵から離れて見なきゃいけない美術館も多いけど、フランスでは柵がなく、すぐ近くで見ることができる。つまり、画家がその絵を描いたときと同じ距離で見られるんです。そういう美に対する寛容さも素敵だなと思いました。2019年には撮影でベルサイユ宮殿のシャルル・ル・ブランの天井画を見に行って、タイムスリップしたような感覚を味わいました。古い文化が脈々と受け継がれて、今のフランスの空気感ができている。それを感じるためにも、また行きたいですね」

近年は映像作品に軸足を置いていた木村さんですが、今年の秋には5年ぶりの舞台となる『台風23号』に挑むことに。作・演出を手がける赤堀雅秋さんとは、以前から一緒に仕事をしたいと考えていたそう。

「みんなが抱えているけれど、普段は隠して何ごともないように生きている。でもちょっとした刺激で表に出てしまう……。赤堀さんは、そういう日常にあるヒリヒリした痛みを描くのがすごく上手なんですよね。去年、赤堀さんに会う機会があったので、『いつか出演したいので頑張ります』と伝えたんです。だから、少し経ってご連絡をいただいたときは本当に嬉しくて」

その段階ではストーリーや役は未定だったものの、オファーに即答したと木村さん。森田剛さんや間宮祥太朗さん、秋山菜津子さんといった共演者も大きな魅力でした。

「森田さん、秋山さんとは同じ作品でご一緒したことはあるのですが、ワンシーンですれ違うくらいで。しっかりお芝居するのは初めての方ばかりなので、ドキドキしつつも楽しみです。もちろん赤堀さんも初めてなので、就職したばかりの新入社員のような気分(笑)。稽古を含めて3カ月近く一緒に濃い時間を過ごすことになるので、俳優同士の仲も深められたらいいですね」

俳優が舞台上を動き回り、ときに大声で笑い、叫び、全身で見る人へ語りかける。生ならではの臨場感が舞台の醍醐味ですが、演じる側にとっては、精神的にも肉体的にもプレッシャーがかかるもの。

「劇場のキャパシティが1000人だとしたら、毎日1000人に見られながらパフォーマンスをし続けないといけない。それに負けないだけのエネルギーが必要なんです。
映像の撮影では、多くても100人を超えないくらいのスタッフに見られるだけなので、大きな違いですよね。公演自体は2時間でも、その中で発するエネルギーの放出量はかなり多い。自分自身の中のエネルギーを溜めておかないと乗り切れないんです」

そのためには、体の声に耳を傾けて、「今の自分に、何が不足しているか」を感じることも重要と考えているそう。

「『ちょっとお菓子はガマンして、少し野菜を増やそう』『たんぱく質を意識的に摂ろう』と、食事もそのときどきで見直したいですね。ここのところ、家で英語の勉強や仕事をすることが多くて運動量が減っていたので、筋肉量ももっと上げないと。
『忍びの家』でアクションに挑戦したときはかなり筋肉もつけましたが、もう落ちてしまったので(笑)。今回はあそこまで動ける体を作る必要はないけれど、あのときに近づけていかないと舞台は無理だなと思っています」

トライアンドエラーを繰り返しながら、時間をかけて役と向き合っていく舞台は、キャリアを重ねた今だからこそ、貴重なインプットの機会でもあるそう。

「長く続けていると、自分の芝居にだんだん飽きてくるんです。もっと〝芝居力〟のようなものをつけないとまずいな、と。常に今の自分に焦りを感じているので、今回の舞台でも、たくさんのインプットを得て、成長したいですね」

TAE KIMURA
1971年、東京都生まれ。舞台、映画、ドラマと幅広く活躍。近年の出演作に配信ドラマ『忍びの家 House of Ninjas』(Netflix)『フクロウと呼ばれた男』(Disney+)、ドラマ『青島くんはいじわる』(テレビ朝日)『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(NHK)、映画『マイホームヒーロー』『九十歳。何がめでたい』など。『美の壺』(NHK BS)のナレーションも好評。10月5日より舞台『台風23号』(東京・THEATER MILANO-Za)に出演。


大人のおしゃれ手帖2024年9月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

撮影/枦木功[nomadica] スタイリング/成子美穂 ヘアメイク/佐藤優 文/工藤花衣 協力/Institut français de Tokyo

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