『エマニュエル』あの官能映画の原作を現代女性の視点で新たに紡ぐ
~ オードレイ・ディヴァン監督インタビュー ~
「これまでのキャリア、すべてが監督業に役立っています」
――エマニュエルを演じたのはノエミ・メルランさんですが、映画の流れとともに、硬い表情が徐々に変化していくのが良いと思いました。監督からは何か演技指導をされたのですか?
ディヴァン:そう言っていただけると嬉しいです。そこはノエミともすごく話し合いました。エマニュエルはキャリアウーマンとして毅然としていてどこか冷たい雰囲気を醸し出していますが、だんだんと他者を受け入れるようになります。そういった人としての進化を描きたいと話し合いました。
――相手役のケイを演じているウィル・シャープさんは、『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』の監督でもあるのですね。監督もされている俳優との共同作業はいかがでしたか?
ディヴァン:ウィルもノエミも映画監督として作品を撮っているので、私はラッキーでした。二人とも演技をしながら言葉の持つ重みをよく理解していますし、どのような構図で撮影すると緊張感が生まれるか、といったこともすぐに伝わります。しかもウィルは英語のセリフについてもアドバイスをしてくれました。
――ホテル経営陣のマーゴを演じるナオミ・ワッツさんも素晴らしい演技でした。
ディヴァン:ナオミ・ワッツさんに私の企画を提案するなんて恐れ多くて長い間できませんでしたが、キャスティングディレクターが脚本を送るべきだと言ってくれたのです。私は権力者であるマーゴをもっと権力を振りかざすような横柄な人物をイメージしていたのですが、彼女は「あえて柔らかな感じを出したほうがいいのではないか」と提案してくれました。その結果、とらえどころのない人物を造形できたのではないかと思います。
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。