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2025年1月7日(火)発売
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『エマニュエル』あの官能映画の原作を現代女性の視点で新たに紡ぐ
~ オードレイ・ディヴァン監督インタビュー ~

中山恵子

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「フランス人だけど日本食が一番好き。実は……」

来日したオードレイ・ディヴァン監督にインタビュー

――監督ご自身についてもお伺いしたいです。ジャーナリズムと政治学を学んだ後に、記者や脚本家を経て映画監督に、という経歴をお持ちですが、クリエイティブな仕事に就きたいと思った理由は? また、キャリアを築くうえでの信条があれば教えてください。

 ディヴァン:私がやりたかったことは書くことでした。でも最終的に文字で書くのではなく映像で描くということに到達しました。これが私に一番しっくりくるのかなと思っています。私がこれまでに築いてきたキャリアのすべてが、今の監督業に役立っていると思います。ジャーナリストのときはリサーチが大事でしたが、監督業でもそれは同じです。

 ――先ほど「女性が活躍する一方、見えない障壁がある」とおっしゃっていましたが、監督自身がそういったことを感じることが多かったのでしょうか。

 ディヴァン:具体的に何かをされたわけではないのですが、やはり女性のほうが「私はこんなこともできます」と男性以上に自分の能力を証明しなければならない、といった目に見えないプレッシャーを常に感じています。

第37回東京国際映画祭で登壇したオードレイ・ディヴァン監督第37回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門に選出された『エマニュエル』のアジアン・プレミアが開催され、上映後に登壇したオードレイ・ディヴァン監督(2024年11月1日)

――そういうなかで作品を撮り続けていることは同じ女性として素晴らしいことだと思います。映画の撮影ではチームワークも大事に思えますが、人とのコミュニケーションの取り方で心がけていることはありますか?

 ディヴァン:私が監督業をする前に働いていた現場はどちらかというと男性中心で、縦社会でした。でも、私の撮影現場では、みんなが対等な関係を築けるようにしています。もちろん私は監督として最後の決断をしますが、誰もが意見を言えるような現場です。それに、私のスタッフはみんな友達なんです。だから撮影が終わったら絶交というのはイヤなので、友達でい続けられるように心がけています(笑)。

――監督は40代半ばですが、よりよく年齢を重ねていくために心がけていることがあればぜひ教えてください。

 ディヴァン:ちょうど私もそういったことを考えていて、3つのことを心がけています。まず、将来の心配に目を向けるのではなく、今のことだけを考えるようにしました。2つめは、自分が心地よいと思えることをリストアップしています。食べ物やスポーツなどですね。3つめは、自分に優しくすること。シワがひとつ増えたら、「このシワも悪くないわね」というように、私の中の変化をポジティブに捉えるようにしています。

 ――監督の心地よいことリストの中に、日本の食べ物などが入っていたら嬉しいです。

 ディヴァン:私はフランス人ですが、世界中の料理のなかで一番好きなのは日本食なんです! だから機会を見つけては来日しようとしています(笑)。来年(2025年)は新婚旅行で日本にまた来たいです。

 ――そうなんですか! ご結婚おめでとうございます。日本のどちらに?

 ディヴァン:沖縄に行きたいです。大好きなんです。

来日したオードレイ・ディヴァン監督

オードレイ・ディヴァン(Audrey Diwan)

PROFILE

1980 年、フランス生まれ。パリ政治学院でジャーナリズムと政治学を学んだ後、ファッション誌などの記者を経て、2008 年から脚本家として活躍。2019 年に『Mais vous êtes fous(原題)』 で監督デビューを果たす。アニー・エルノーの小説「事件」を自ら脚色した監督第 2 作『あのこと』(2021年)で、ベネチア国際映画祭金獅子賞、ルミエール賞作品賞を受賞したほか、多くの賞にノミネート。最新作『エマニュエル』にも注目が集まっている。

ヘアメイク/SHIGE(AVGVST)


『エマニュエル』2025年1月10日全国公開

『エマニュエル』

ホテルの品質調査をするため、香港の高級ホテルに滞在するエマニュエル。サービスも設備も完璧で最高評価の報告書を提出するが、ランキングが落ちたことが許せないオーナーから経営陣のマーゴを懲戒解雇できるアラを探せと命じられる。ホテルの裏を調べ始めたエマニュエルは、関係者や妖しげな宿泊客たちに禁断の快楽へと誘われていく。そこに、行きの飛行機でエマニュエルを見ていた男、ケイが現れる。

監督:オードレイ・ディヴァン
原案:エマニエル・アルサン著「エマニエル夫人」
出演:ノエミ・メルラン、ウィル・シャープ、ジェイミー・キャンベル・バウアー、チャチャ・ホアン、アンソニー・ウォン、ナオミ・ワッツ
配給:ギャガ
© 2024 CHANTELOUVE - RECTANGLE PRODUCTIONS – GOODFELLAS – PATHÉ FILMS

2025年1月10日(金)より全国公開

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構成・文

ライター 中山恵子

ライター中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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