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大人のおしゃれ手帖 6月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年6月号

2025年5月7日(水)発売
特別価格:1540円(税込)
表紙の人:木村佳乃さん

2025年6月号

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【必見の特別展】万博イヤーの大阪に国宝が集結! 大阪市立美術館「日本国宝展」でニッポンの美を堪能

ふなつあさこ

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古代からの国際都市・大阪の国宝に目を見張る

古都のムードを今に残す京都・奈良に比べ、大阪って近代的なイメージがあるかもしれませんが、とんでもない。古代、大陸からやってくる人・モノのオフィシャルな玄関口は難波津(なにわづ)、つまり現在の大阪だったわけです。それ以来、長らく交易拠点であった大阪では経済・文化が大きく発展しました。そんな大阪ゆかりの国宝が一堂に会しています。

「貴人を納めたカプセル」というキャッチコピーが秀逸な《金銅威奈大村骨蔵器(こんどういなのおおむらこつぞうき)》〈白鳳時代(慶雲4年・707)/大阪・四天王寺〉。四天王寺は、推古天皇元年(593)に聖徳太子によって建立されたお寺です。

一木造り(いちぼくづくり。一つの木材から仏像を彫り出す技法)ながら、ウエスト部分がかなり深く彫り込まれているところに作者のパッションを感じる《薬師如来坐像》〈平安時代(9世紀)/大阪・獅子窟寺(ししくつじ)〉。

さまざまな土地を取材して歩いて、歴史あるところ、その街のヒーローともいうべき偉人がいて、今でもずっと慕われ続けていると実感することが多々あるのですが、大阪の場合は、やっぱり太閤さん、豊臣秀吉公なんだと思います。

そんな太閤さんの愛刀《短刀 銘左/筑州住(号じゅらく(太閤左文字))》〈南北朝時代(14世紀)広島・ふくやま美術館(小松安弘コレクション)〉。

扇形の料紙に平安時代の人々の暮らしを描き、さらにその上にお経が書写されている《扇面法華経冊子 法華経巻第一》〈平安時代(12世紀)/大阪・四天王寺〉。もちろん全工程アナログで生み出された芸術品は、芸術のためではなくお寺に奉納するために作られた、無我の美。

最高のライティングで浮かび上がる薬師寺・聖観音菩薩立像の美しさ

仏像好きのなかでもファンの多い、奈良・薬師寺の《聖観音(しょうかんのん)菩薩立像》(白鳳時代(7世紀後半~8世紀初)〉。お寺ではお厨子のなかにおられるので、まず全身を360°すべての角度から拝見できるのも嬉しいのですが、なんといってもライティングが素晴らしい。ダークグレーの空間に、一身に光を浴びてすらりと立つ聖観音さまは、どこか朗らかなご表情。いつもにも増して迫力のある美しさに痺れました。

たまたまいらした内藤先生も「薬師寺の聖観音さまは、前職から通じて何度か展示させていただいていますが、今回が一番魅力を引き出せたのではないかと思っています」と仰っていました。

薬師寺からは、約110年ぶりの大規模修理完了を終えて一昨年落慶法要が営まれた国宝・東塔の創建当初の《薬師寺東塔 水煙(すいえん)》〈奈良時代(8世紀)〉も出陳されています。

水煙は塔のてっぺんにあるので地上からは小さく見えますが、実際にはかなり大きいのです。笛吹童子や天人がレリーフされていて、これほど細部までデザインが施された水煙は他に類を見ません。

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編集者 ふなつあさこ

編集者ふなつあさこ

生まれも育ちも東京ながら、幼少の頃より関西(とくに奈良)に憧れ、奈良女子大学に進学。卒業後、宝島社にて編集職に就き『LOVE! 京都』はじめ関西ブランドのムックなどを手がける。2022年、結婚を機に奈良へ“Nターン”。現在はフリーランスの編集者として奈良と東京を行き来しながら働きつつ、ほんのり梵妻業もこなす日々。

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Instagram:@asa_ship

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