【MEGUMIさんインタビュー】「家庭に入ると、“自分がなんとかしなきゃ”って抱え込みすぎてしまう女性は少なくないと思う。でも、もっと自由に、自分の人生を楽しんでほしい」
自分の思いを認めるだけで女性は自由になれる
足立監督は、細かく演出をつけるというよりも、俳優にすべてを託してくださるスタイル。その分、チカという役を自分自身でどう捉えるかが問われたといいます。
「ただの鬼嫁、ただの強い人って思われたくなかったんですよね。ちゃんと“背負って”いる人にしたいと思いました。
たとえば、作中でときどき回想として描かれる“昔の仲の良かったふたり”や、“豪太が輝いていた頃”。
あの頃、彼は誰よりも才能があって、チカはそこに惹かれて、付き合って、結婚して……でも、『自分のせいで彼がこうなっちゃったんじゃないか』って、どこかでチカは思っているんです。
さらに息子の太郎のことも、『もしかしたら自分のせいでこうなってしまったのかも』って。
チカはすごく真面目で、全部自分で抱え込んじゃう人だから、そうやっていろんなものを背負うことで、ただ“強いだけ”の人じゃなくなるなと感じていて。
だからこそ、チカって本当に“嫌いになりきれない人”なんですよね。
もし本当に豪太のことが嫌いだったら、もう別れればいいし、無視してしまえばいい。
でもそうじゃなくて、ちゃんと向き合って、手伝ったり、おせっかいを焼いたりする。
そういう行動には、『まだ何か変われるんじゃないか』っていう期待とか、『こうならなければよかった』という後悔とか、いろんな感情が複雑に混じっていると思うんです。
そんな気持ちを抱えながら、チカを演じていました」
一方で、チカのように本音をズバッと言える強さには、羨望も感じたと言います。
「私は逆に、あまり言わないタイプ。キャラは強いし、現場では一番年上ということも多いですし、経営者として従業員にお願いごとをする立場でもあるし、映像のプロデューサーもやっているので、重大なことを告げなきゃいけないときはあるのですが……。
でもだからこそ正論をズバッと言いすぎると、相手を追い詰めちゃうことになるなって思っていて。
今はその日は言わないで、『どう伝えたら、相手がポジティブに変われるきっかけになるだろう』と、一度考えてから伝えるようにしています。40代の今、言葉の重さをますます感じますね。
だから、チカのようにズバズバ言える人を羨ましく感じます。
また、それが家族に対してだったりすると、なおさら素晴らしいことだと思います」
チカの豪太へのさらなる本音があふれるのが、ラストシーン。MEGUMIさんは、このシーンに特別な思いを込めて演じました。
「私は『自由に生きていく』というのがすべてだと思っていて、あのシーンこそが、チカの成長、変化の瞬間だと思います。
家庭に入ると、“ちゃんとしなきゃ”“自分がなんとかしなきゃ”って抱え込みすぎてしまう女性は少なくないと思うんです。
実際いっぱい頑張っているのに、なぜか“やっていないこと”ばかりにフォーカスしてしまう。
それは、日本人の女性に多い感覚じゃないかなと思っていて。
でも、もうちょっと「できない」って言ったり、人に頼ったり、ダメダメな日があってもいい。ちゃんと息抜きして、背負いすぎないことに、自分で許可を出すこと。
観てくださる方にも、もうちょっと自由に、自分の人生をちゃんと楽しんでもらえたら。たとえ今すぐ何かを変えられなくても、“私はこう思っている”と心の中で認めるだけでも、少しずつ自由になっていける気がします」
家庭、夫婦、自分自身――50代の女性たちが向き合うさまざまなテーマが詰まったこの作品。MEGUMIさんが演じたチカは、そんな女性たちの“代弁者”ともいえる存在です。
「女性は、もっと自由に、自分の人生を楽しんでほしい」。MEGUMIさんが今、大切にしている想いが、静かに、そして力強く込められているように感じられました。
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