カテゴリー

人気タグ

大人のおしゃれ手帖 7月号

大人のおしゃれ手帖

最新号&付録

大人のおしゃれ手帖
2025年7月号

2025年6月6日(金)発売
特別価格:1570円(税込)
表紙の人:中谷美紀さん

2025年7月号

閉じる

記事公開日

この記事の
関連キーワード

大人のおしゃれ手帖
の記事をシェア!

高橋一生さん×井浦新さん 
ヴェネツィアの空気に包まれて【岸辺露伴は動かない 懺悔室】

高橋一生さん×井浦新さん ヴェネツィアの空気に包まれて【岸辺露伴は動かない 懺悔室】

この記事の画像一覧を見る(2枚)

人の言葉に傷ついたり、振り回されたり。そんな経験を重ねると、ついつい臆病になりがちです。
でも、憧れていた人が、素直に心を開いてくれたなら―。人気シリーズの新作映画で顔を合わせた、実は初共演のおふたり。
思いが通じ合った喜びは、それぞれの豊かな感性を刺激したようです。


慎重だけど、どこか大胆。
自然にその場に溶け込む佇まいに感動

高橋一生さん(以下、高橋) 『岸辺露伴は動かない』の映像化は、テレビシリーズから始まって今年で5年目。人の形をしているけれども人ではないような、そんな対象と戦う物語を生身の肉体をもっていかに実写にしていくかが醍醐味なんですが、今回の映画に井浦さんが参加してくださって、ひとつの集大成になったと感じています。

井浦 新さん(以下、井浦) ありがとうございます。原作を愛読しシリーズを拝見してきた身には、ただただ光栄であり、そうであるからこそ、うかつに立ち入れない聖域のようでもあり……。でも、原作への愛と敬意を込めながら、人間と人間で作る物語として思い切り一生くんの岸辺露伴にぶつかっていけました。あの露伴が目の前にいる! という喜びで、ついつい口元がにやけないように気をつけつつ(笑)。

高橋 フフフ。井浦さん演じる謎の男・田宮との最初の場面は、ふたりがすれ違うだけな
のですが、とても高揚したのを覚えています。井浦さんは慎重だけれど、どこかに大胆さも持っていて、自然にその場に溶け込んでこられたのが感動的でした。

井浦 すでに完成した座組に途中から入るわけだから、いろんな思いはありました。でも、遠慮や気後れを出すことは、作品と目の前の相手にも失礼にあたるので……。

原作への愛と敬意を込め、憧れの露伴に思い切りぶつかっていけました

高橋 共演は初めてですが、井浦さんのお芝居を拝見して感じていたのは、説得力を持ってそこにいるという困難を問い続けていくことの大切さ。ただすれ違うときの佇まいからもすでに感じられたので、これからセリフを交わし合ったらいったいどうなるんだろう? という楽しみが増したんです。

井浦 そして何しろ、ヴェネツィアの街並みと空気に包まれながらいられたことが、大きかったです。撮影中もオフのときも、誰かといてもひとりでいても、いつもずっと刺激的で、魔法が解けなかった。

高橋 本当に。車も自転車も通らない街の路地を役の扮装のまま歩いて、船に乗って撮影に行く時間は、キャラクターの落とし込み方にもきっと作用したと思います。

井浦 美術館や博物館が街中にあふれているから、皆、それぞれ空いた時間に通って、これを観た、あれを観たと話し合って。そのなかで、僕がすごく印象に残った絵が、たまたま一生くんのと同じだったんです。

高橋 マグリットの《光の帝国》ですね。

井浦 「あれ、よかったね」「今観られてよかった」という話をしながら、ひとつの作品を一緒に心の栄養にできていたんだということが、すごく心地よかった。

高橋 僕も、うれしかったです。絵画のように言葉が介在しないものを人と共有できるんだって。今回の作品には人が言葉によって縛られるという状況が出てくるんですが、人からかけられた言葉って、呪いにも祝福にもなりうるんですよね。たとえば僕が今、どんなに相手のことを慮って言葉をかけたとしても、それがその人にとって呪いになるかもしれなくて……。言葉の重さは、年を重ねれば重ねるほど感じています。

井浦 その通りですね。僕は実際、記憶がないくらいの頃から家族にずっと「いつでも、誰に対しても優しくありなさい」と言われていて。優しさってなんだろう? と考えても、当時の少年なりの想像力は表面的にしか働かず、自分が優しくできたと思っていた次の瞬間、同級生から「井浦、ぜんぜん優しくないよね」とか言われて(笑)。

高橋 ハハハ。

井浦 そのときは完全に呪いだったわけですが、でも、優しさに呪われたことで、人や社会に対する優しさを常に考えながら生きていくことになったわけだから、今は、それをいいほうに考えたいなと。

高橋 それを伺って思い出したんですが、井浦さんはヴェネツィアにいたとき、「今日は空が青いね」というように、今自分が何を感じているかをよく表現されていましたよね。すごくストレートで美しい形容で、聞いている僕の心の中にまで空の青さが落ちてくるようで……。そういう言葉の端々に、僕はすごく優しさを感じていました。

〔 映画 〕 『岸辺露伴は動かない 懺悔室』 原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない 懺悔室」(集英社ジャンプ コミックス刊) 監督:渡辺一貴 脚本:小林靖子 出演:高橋一生  飯豊まりえ/玉城ティナ 戸次重幸 大東駿介/井浦新 配給:アスミック・エース 5月23日(金)ロードショー © 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社

〔 映画 〕
『岸辺露伴は動かない 懺悔室』

幸せの絶頂を感じた瞬間、最大の絶望が訪れる―美と芸術の魔都・ヴェネツィアの教会で謎の男・田宮の懺悔を聞いた岸辺露伴に〝幸福の呪い〟が迫る。ごく短い原作エピソードをスケールアップした物語は「創作部分との境目がわからないほどスムーズ。原作ファンの方にも楽しんでいただけるはず」と井浦さん。ほかに玉城ティナ、大東駿介、戸次重幸が初参加。

原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない 懺悔室」(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:渡辺一貴 脚本:小林靖子 出演:高橋一生 
飯豊まりえ/玉城ティナ 戸次重幸 大東駿介/井浦新

配給:アスミック・エース 5月23日(金)ロードショー

© 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会
© LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社

俳優
高橋一生さん
1980 年生まれ。ドラマ、映画、舞台など幅広く活躍している。最近の出演作にドラマ『ブラック・ジャック』など。連続ドラマW『1972 渚の螢火』(WOWOW)が今秋放送予定。

俳優
井浦 新さん
1974 年生まれ。98 年『ワンダフルライフ』で映画初主演。以降映画、ドラマなど幅広く活動。アパレルブランドのディレクター、サステナブル・コスメブランドのファウンダーを務めるなど、活動は多岐にわたる。


photograph: Kentaro Hisadomi styling: Takanori Akiyama[A Inc.]( 高橋さん), Kentaro Ueno( 井浦さん)hair & make-up: Mai Tanaka[MARVEE]( 高橋さん), Eriko Yamaguchi( 井浦さん) text: Michiko Otani

大人のおしゃれ手帖2025年6月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事の画像一覧

  • 高橋一生さん×井浦新さん ヴェネツィアの空気に包まれて【岸辺露伴は動かない 懺悔室】
  • 〔 映画 〕 『岸辺露伴は動かない 懺悔室』 原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない 懺悔室」(集英社ジャンプ コミックス刊) 監督:渡辺一貴 脚本:小林靖子 出演:高橋一生  飯豊まりえ/玉城ティナ 戸次重幸 大東駿介/井浦新 配給:アスミック・エース 5月23日(金)ロードショー © 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社

この記事の画像一覧を見る(2枚)

この記事のキーワード

記事一覧へ戻る

大人のおしゃれ手帖の記事をシェア!

関連記事