清水ミチコさん
鮮度?いえいえ「死にたてが一番!」
「モノ」に囲まれて暮らす私たち。だからこそ、そばに置くモノのことはとっても気になります。
清水ミチコさんの「モノ語り」。
清水さんが今気になっているモノ、お気に入りのモノについて綴ります。
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『ド・レミの歌』はアンコール
2025年、なんでも今年は放送100周年とのこと。
NHKでは昔なつかしい番組がたくさん放送されています。私はこれが大好き。自分の知らない時代の番組だっておもしろい。
最近の美男美女と違って、顔が均一ではなく、「美人といってもこんなに個性があるのか!」と、うっとりながめていられます。
なぜか今よりどこかフケているのもご愛嬌。誰かが、「昔の音楽や若い頃の映画がいいと感じるのは、自分の体調も健康的にマックスだった頃に戻るから」と言っていましたが、それもあるのかなあ。
そんな事を思っていた矢先、平野レミさんの本『ド・レミの歌』が再出版されたではありませんか。
1976年に出されていたエッセイ、私は学生時代にむさぼり読んだものをまた再読したのですが、名著です。
料理も好きだけど、彼女のエッセイと言葉のチョイスは最高です。
いつか2人で東北にロケに行った時、市場で新鮮な刺身を食べたのですが、ほおばったレミさんはあまりのおいしさに顔がほころび、「やっぱり魚ってのはさぁあ、」と言うので、「新鮮さが命だよねとか言うのかな?」と思っていたら、「死にたてが一番!」と言いきりました。
なかなか聞けない、けど誰にもわかるキップの良さ。
夫は日本が誇るイラストレーターの和田誠さん、長男はミュージシャン、次男は有名広告代理店勤務を経て、その奥様は売れっ子料理研究家、と誰もがうらやましがる人生ながら、本人はいたって陽気で気さくです。
料理本では全然わからないであろう、レミさんの思春期から出産までの話がまっすぐな視線で描かれていて、最後は涙してしまいますが、これを読めばますますレミさんのファンになることうけあいです。
長年売れっ子の平野レミさん。
1976年ごろはさすがにモノマネしてなかった私も、90年代からはレパートリーにさせてもらってました。必ずウケるというテッパンなのですが、私のライブを見た感想は、あの声で「どうして私だけさあ、あんなに下品になっちゃうの?」でした。
もっと邁進いたします。
今回の気になる物産
『ド・レミの歌』
料理愛好家であり、シャンソン歌手でもある平野レミさんが、1976年に刊行した初エッセイ集に加筆修正を加え復刊。
少女時代から第1子誕生までのレミさんの毎日が、飾り気のない率直な言葉でつづられています。レミさん自らが描いた味わい深い挿絵も満載。
平野レミさんのパワーの源泉を垣間見ることができる、清水さんが「むさぼり読んだ」のも頷ける1冊です。
『ド・レミの歌』平野レミ著(ポプラ社)
清水ミチコ
岐阜県出身。1987 年のデビュー以降、テレビ・ラジオのほか、エッセイ執筆、CD制作、ライブと、幅広く活躍。YouTubeでは、「清水ミチコのシミチコチャンネル」を配信中。活動に関する最新情報は、公式サイト4325.netをチェック!
イラスト(ロゴ)/とみこはん 文・編集/鈴木香里
大人のおしゃれ手帖2025年6月号より抜粋
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