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2025年7月号

2025年6月6日(金)発売
特別価格:1570円(税込)
表紙の人:中谷美紀さん

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ヴァカンスが待ち遠しい!? 色褪せない女子映画、ジャック・ロジエ監督『オルエットの方へ』

中山恵子

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楽しさ、解放感、ほろ苦さ、あらゆる感情が波のように迫ってくる

海辺でのヴァカンスをまばゆい映像とともに描く。『オルエットの方へ』4Kレストア版 © 1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA『オルエットの方へ』4Kレストア版 © 1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA

 ひとことで言うと、3人の女の子たちが海辺の別荘で笑い転げながらダラダラと過ごしている、それだけの話です。けれども、退屈するどころか、見入ってしまう不思議な魅力があります。

 なんといっても彼女たちの会話やふるまいが自然で、自分もそこにいるかのような気分になれるのです。前半は3人とも夏休みの子どものようにハイテンションで、他愛もないやりとりに大笑いしています。まさに「箸が転んでもおかしい」状態です。タイトルの「オルエット」もそんな会話のなかに出てきます。

部屋でダラダラして過ごすのもヴァカンスの楽しみ。『オルエットの方へ』4Kレストア版 © 1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA『オルエットの方へ』4Kレストア版 © 1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA

 とはいえ、何もすることがない日々にもやがて飽きてくるというもの。そんなところに現れたのが、上司の男・ジルベールです。彼女たちは退屈しのぎに彼を歓迎しますが、バカ騒ぎのなかにも少しずつピリピリした空気が漂いはじめ、観ているこちらがヒヤヒヤしてしまいます。

微妙な空気がいたたまれない。『オルエットの方へ』4Kレストア版 © 1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA『オルエットの方へ』4Kレストア版 © 1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA

 ヴァカンスのはじまりから終わりまでの心の機微を、まばゆい海辺の映像とともに綴った本作。楽しみ、喜び、解放感、恋しさ、気まずさ、自責の念、ほろ苦さ、懐かしさ、感傷的な気持ちが、打ち寄せる波のように心に迫ってくる、そんな珠玉の映画です。

ジャック・ロジエ監督の長編映画第二作。『オルエットの方へ』4Kレストア版

『オルエットの方へ』4Kレストア版

1971年

監督・脚本・台詞:ジャック・ロジエ
出演:ベルナール・メネズ、ダニエル・クロワジ、フランソワーズ・ゲガン、キャロリーヌ・カルティエ
配給:エタンチェ、ユーロスペース

2025年7月5日よりユーロスペースにて公開

© 1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA


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構成・文

ライター 中山恵子

ライター中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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