ヴァカンスが待ち遠しい!? 色褪せない女子映画、ジャック・ロジエ監督『オルエットの方へ』
ゴダールに絶賛された才能「ジャック・ロジエ監督特集」も同時開催
『アデュー・フィリピーヌ』2Kレストア版 © 1961 Jacques Rozie
輝く季節を軽やかに大胆に切り取るジャック・ロジェの才能に対し、ヌーヴェル・ヴァーグの象徴であるジャン゠リュック・ゴダールは絶賛し、フランソワ・トリュフォーは嫉妬したといいます。そんなロジエ監督の作品群を楽しんでみてはいかがでしょうか。
◆『アデュー・フィリピーヌ』2Kレストア版(1962年)
1960年パリ。アルジェリア戦争のさなか兵役を数か月後に控えた青年ミシェルは、勤務先のテレビ局でリリアーヌとジュリエットと出会います。二人の娘は次第にミシェルに惹かれていきますが、彼はどちらとも上手くやろうとします。そんななか、仕事でミスをしたミシェルは、兵役前にヴァカンスを楽しもうと仕事を辞め、二人に告げぬままコルシカ島へ旅立ちます。
© 1961 Jacques Rozie
◆『トルテュ島の遭難者たち』4Kレストア版(1976年)
パリの旅行代理店に勤めるボナヴァンチュールと同僚の「太っちょノノ」は、ロビンソン・クルーソーの冒険を追体験させる無人島ヴァカンスツアーを企画。彼らはツアー候補地のカリブ海へ調査に向かいますが、空港で「太っちょノノ」が逃げ出し、代わりに弟の「プティ・ノノ」がボナヴァンチュールに同行することになります。現地に着いた二人が無人島を探していると、パリから最初のツアー客がやってきますが、誰もボナヴァンチュールの言うことを聞こうとしません。
© 1974 Jacques Rozier
◆『メーヌ・オセアン』4Kレストア版(1985年)
ブラジル人ダンサーのデジャニラは、パリ発の特別列車「メーヌ・オセアン号」に飛び乗りますが、検札係に罰金を命じられてしまいます。フランス語が分からない彼女は、たまたま通りがかった弁護士の女性に助けられます。翌日、弁護士に誘われ漁師の裁判に立ち会ったデジャニラは、その漁師が住む大西洋の島で週末を過ごすことにしますが、そこに検札係もやって来て……。
◆『フィフィ・マルタンガル』デジタル・レストア版(2001年)
ブールヴァール劇『イースターエッグ』はパリで大ヒット中。この低俗な自作が権威あるモリエール賞を受賞したと知った劇作家は、これを何かの陰謀だと思い込み、上演中の戯曲を改変して「敵」に報復しよう企みます。
<短篇集>
◆『ブルー・ジーンズ』2Kレストア版(1958年)
ジャン゠リュック・ゴダールに絶賛されたロジエ監督の短篇第二作。カンヌの海辺でヴェスパに乗り、ナンパに明け暮れる二人組。その刹那的な彼らの青春が、浜辺の緩やかな移動撮影で見事に捉えられています。
◆『パパラッツィ』2Kレストア版(1963年)
◆『バルドー/ゴダール』2Kレストア版(1963年)
『バルドー/ゴダール』と『パパラッツィ』は、ゴダールの『軽蔑』(1963年)の後半部分を占めるカプリ島での撮影現場を訪れたロジエ監督による短篇ドキュメンタリーで、いわば双子のような作品。『パパラッツィ』が『軽蔑』の撮影現場の外側で起きていたブリジッド・バルドーと彼女を狙うパパラッツィとの攻防戦に焦点を当てた作品であるのに対し、『バルドー/ゴダール』はその内側でのバルドーとゴダールとの関わりをとらえています。
ジャック・ロジエ監督特集
『オルエットの方へ』の公開を記念して、ロジエ監督の短篇第二作『ブルー・ジーンズ』も2Kレストア版で公開されるほか、上記の作品を上映。
上映スケジュールの詳細は、公式サイトを参照
https://www.jacquesrozier-films.com/
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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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