夏に観たい、音楽も楽しめる映画・ドキュメンタリー3選

ビーチ・ボーイズの創設メンバーが語る「天才」の軌跡と苦悩の日々
『ブライアン・ウィルソン／約束の旅路』

　夏らしい音楽のスタンダードといえば、ビーチ・ボーイズの「サーフィン・U.S.A.」「グッド・バイブレーション」などが挙げられます。夏の風を思わせる爽やかなコーラス、アップテンポながら哀愁も感じさせるメロディー、聴く人の心に強い印象を残す美しい名曲は今なお多くの人々に愛されています。

　ビーチ・ボーイズは1961年にウィルソン三兄弟を中心に結成されたバンドで、サーフィンや車といった若者の憧れをテーマにした楽曲で人気を博し、数々のヒット曲を生み出しました。バンドの初期の活躍は、ウィルソン三兄弟の長男、ブライアン・ウィルソンの才能によるところが大きいとされています。本作は、後継のミュージシャンたちに「天才」と称されるブライアンの音楽とその人生に迫るドキュメンタリーです。

　ブライアンが心を許している元ローリング・ストーン誌の編集者であるジェイソン・ファインとともに、生家や西海岸のゆかりの地を車で巡りながら、ブライアン自身が栄光とその裏にあった苦悩の日々を振り返ります。ポツポツと語るその姿は、大きな体をしたシャイなおじいさんといった印象ですが、老齢になっても音楽を続ける真摯な思いや、確執があった兄弟や仲間に対する深い愛情も感じられます。