【著者インタビュー】寺地はるなさん
生きづらさの先にある「もっと自由な」生き方とは?
区切りを待っていたら始められない
学び続けることで、小説にも新しい風を吹き込む
——「大人のおしゃれ手帖」の読者は50代が中心です。子育ても落ち着いて、新しいことを始めたいと考える人も多い世代ですが、寺地さんがこれから挑戦してみたいと考えていることは?
寺地 子どもが手を離れたら、通信制の大学で勉強するつもりだったんです。でも、手が離れるっていつなんだろう……?と思って。区切りを待っていたらいつまでも始められないので、2021年に入学して、今もオンライン授業を受けています。当初はコロナ禍で家にいる時間も長かったので順調に授業を受けていたんですけど、最近は時間を取るのが難しくなって、卒業が一年延びてしまいました。でも時間がかかっても、自分のお金と時間だし、別にいいかなと思って。心理学や言語学、看護学、韓国語……など、分野に関係なく、そのとき興味の湧いた授業を受けています。学んだことをそのまま小説の題材にできるわけではないのですが、新しいものに触れることで、私も考えることができるので。それが小説を書くうえでも役立っていると思います。
——卒業後は、また新しいことに挑戦するのでしょうか?
寺地 ここ5〜6年、誕生日に「やったことがないことに挑戦する」ということを続けていたんですけど、今年からは誕生日に関係なく、見たことのないものを見ようと思っていて。最近は初めて「能」を観ました。分からないなりに興味深かったですね。
——今後、書きたい作品のイメージはありますか?
寺地 より新しい表現ができたらいいなと思います。ひとつ考えているのは、今はオーディブルで聞かれる方も多いのですが、文字で読んだときと耳で聞いたときの面白さは違う気がするので、そこが今の課題です。それとは別に、私は今までSFやファンタジー、極端に言えば、幽霊が出てくるような、「現実に起こり得ないこと」をあまり書いてこなかったんですね。でも小説の中で起こり得ることであれば、表現の一部として取り入れてもいいのかな、と思うようになって。ここ数年、挑戦を始めています。
寺地はるな
1977年佐賀県生まれ。現在、大阪府在住。2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。21年『水を縫う』で河合隼雄物語賞受賞、24年『ほたるいしマジカランド』で大阪ほんま本受賞。『いつか月夜』『わたしたちに翼はいらない』『こまどりたちが歌うなら』ほか多数。
『リボンちゃん』
著/寺地はるな
¥1,650(文藝春秋)
幼い頃からかわいいものが好きで、いつも頭にリボンを付けている「リボンちゃん」こと百花は、あるとき伯母の加代子が営む「テーラー城崎」を手伝うことに。夫を亡くした後、主に日用品の制作を手がけていた加代子だったが、あるとき「下着のリメイク」の依頼が届き、手芸が得意な百花の力を借りることにしたのだった。
写真提供/文藝春秋 取材・文/工藤花衣
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