【小池栄子さん・向井理さんインタビュー】「新感線に出るたびに『これは出るものじゃなく、観るものだな』と後悔するんです(笑)
「新感線のような劇団ってほかにないから、比較しようがない」(向井さん)
——個性的な劇団員の皆さんが集まるなか、ゲスト俳優の方にはどんな役割が求められるのでしょうか。
向井 4年前に出演したとき、高田聖子さんが「劇団員はスパイスだから」と話していたんです。でもスパイスだけだと料理にはならないから、カレーで言えばごはんのような存在がゲストだと。説明台詞をちゃんと言う、物語を回す、見せ場を作る……。そういう基礎をゲストが固めていれば、個性派集団の劇団員が際立つから。僕らがそこに入っても勝てるわけはないし。だから毎回、「この劇団にないものは何だろう?」と探してますね。
小池 私は劇団員の方々に支えられていると感じますね。「調整はこっちでやるから、自由にやりなさい」というような。現場で他の人を萎縮させないって、すごいことだと思うんです。
向井 初めてのときは、ずっと怒られるんじゃないかと思って、もう怖くて怖くて。だけど誰にも怒られなかった(笑)。新感線のような劇団ってほかにないから、比較しようがないけど、真面目な人しかいない。
小池 そして、品がいい。ともすれば、「私が」「俺が」と前に出てバランスを崩してしまいそうな内容でも、仲間に対してリスペクトを持ちながらやっているし、下品なことをしても下品にならない。それはお芝居に対して真摯に向き合っているからだと思うんです。
向井 ちゃんとお客さんのほうを向いている感じがします。お金を払って観てもらうからには、楽しませなきゃいけない、という考えが根本にある。
小池 すごいバランスだよね。やっぱり学生時代から一緒にやってきたというのが大きいんでしょうね。そういう仲間と出会って何十年も一緒に仕事できるって、本当にうらやましい。
向井 村木仁さんや逆木圭一郎さんが、「演出のいのうえ(ひでのり)さんはみんなが年を重ねてることを忘れてるから、20年前と同じ歩幅でやらせようとするけど、それは無理」って言ってて(笑)。いのうえさんがお尻を叩いて当時のエネルギー量を持続させてるんだろうと思います。
小池 ひいひい言いながらやってるのが心を打つし、面白いんだよね。その出し惜しみしない感じが嬉しい。
向井 役者側がつらければつらいほど、観る側にも面白さが伝わりますよね。だから、新感線に出るたびに「これは出るものじゃなく、観るものだな」と後悔するんですけどね(笑)。
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