【更年期体験談】執着を手放すことで見えた新境地
年齢を重ねると感覚が敏感になる

ライフスタイルコーディネーターとして、日用品を紹介してきた陽子さんは、年を取ってお金に余裕ができたから、上質なものを選ぶのではないと言う。
「肌が弱ってきたからでもないですよね。感度が鋭くなってきたから、気持ちのいい素材でないと身につけられない。天然素材だからいいというわけではなくて、肌触りがいいものが天然素材だった、ということ。食べ物も体が欲するおいしいものを少量食べるようになりますよね」
 
この「気持ちいい」感覚が「魂の乗り物である体」を大切にすることにつながる。
 
「このマンションはビンテージでとても古いのですが、共有部分もメンテナンスや掃除が行き届いていて、とても気持ちがいいんです。体も同じで、ビンテージマシーンだなって思います。クセも含め、どういう具合にもっていくのがいいのかと、ケアをして気持ちよくしてあげれば、長く魂の乗り物として動いてくれるんじゃないかしら」
 
オーガニックとか、日本製とかとカテゴライズせずに、自分自身の感覚に向き合ってきた陽子さん。その言葉には、しなやかな説得力がある。
更年期は必ずあるものだから受け止める

陽子さんも50代の前後には更年期のような症状があったという。
「若いときに、年上の女性たちがイライラしている理由を、更年期のせいにしているのを聞いて、自分はそういう言い訳はしないと誓ったの(笑)。私も50歳のころには、苦しかったりしんどいこともあったけど、通り過ぎていきましたね。ちょうどフリーランスで仕事を始めたころでした」
 
更年期も老年期も必ずくるものだから、それを受け止めていく。
「更年期のころは、まだ40代と同じような体力で、自分から出していくエネルギーが強かった。今は、受け取ることができるようになってきたと思います。年をとって感度が上がるのもそうですね。合成のものがダメとかそういうこともなくて、その方にあったケアをご自分の感覚で見つけていけばいいのではないかしら。ただ、植物は偉大ですね。人間が作るものとは違う響き方があるのは確かです」
 
だから、陽子さんのオリジナルブランドSCENT OF YORK.の香水は、植物原料だけで調合されている。「自分を包むすべてをキモチよいもので満たす」究極の表現だ。
 
50代での独立、そして今は60代の大転換の中にいる。
「私がすることで喜んでくださる方がいれば、それを続けていきたい。『香り』としてメッセージを届けたいです。パフュームのクリエーションも兼ねて、植物たちの声を聞き、匂いを感じて、旅をしながら形にする、そういう生活を試してみようと思っています」
朝のひと時、ゆったりベランダでコーヒーを飲む時間は至福の時。「『ご自愛』って自分に言ってあげていいと思うんです。
体は変化していくので、それに合わせたチューンナップも必要ですね」。
以前はしっかり走って泳いで、時々「暗闇ボクシング」などをしていたが、今は巡りをよくするために、朝のウォーキングと週に一度の酵素浴に切り替えた。



