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2026年2月号

2026年1月7日(水)発売
特別価格:1740円(税込)  
表紙の人:鈴木保奈美さん

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【神野三鈴さん×斎藤工さん】
スペシャル対談「会う前から、他人じゃなかった」

大人のおしゃれ手帖編集部

【神野三鈴さん×斎藤工さん】スペシャル対談「会う前から、他人じゃなかった」

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はじめて会った瞬間から〝縁〟を感じ、胸が高鳴る。
この人の前でなら、いつでも素顔の自分でいられる。
神野三鈴さんにとって、そんな大切な存在のひとりが俳優であり、映画監督・プロデューサーとしても活躍する斎藤 工さん。
年齢も性別も異なるのに、これってどうして? というおふたりの関係を、対話から解きほぐしていくと、自分の感覚を信じ、目の前にいる人のすベてを尊重する、同志の姿が浮かびました。
信じ、託せる相手とつながり、大事に時を重ねていく。
おふたりが語る過去と現在、そして、迎えたい未来について。


出会うべくして出会った。
そんな感覚を自然に、お互いに

【神野三鈴さん×斎藤工さん】 スペシャル対談「会う前から、他人じゃなかった」

斎藤― 三鈴さんとお会いしたのは、僕の監督作の『blank 13 』にお声がけしたのが最初でした。でも、お会いする前から、他人ではないような思いを勝手に抱いていて……。

神野― 私も、会ったときから「ああ、これは特別な出会いなんだ」という気がしていました。実際、私の母が自然農法に携わっていたときに、工くんのご両親と出会っていたんですよね。

斎藤― はい。僕は、三鈴さんのお母さんの教えで育ってきたようなものなので(笑)。それに、うちでは三鈴さんのパートナーである小曽根真さんの音楽がずっと流れていたので、出会うべくして出会えたんだなと。演じていただいた主人公の母親役には実在のモデルがいますが、実は僕の母を投影した役でもあって。僕にはわからなかった「母」というものを三鈴さんが体現してくださったという思いを持っていました。

神野― ありがとうございます。私は自分のなかには、母親になれなかったという喪失感がずっとあったので、映画が完成したとき、工くんに「三鈴さんは完璧なお母さんを生きたんですよ」と言われて、この人、どうしてこんなに見抜いてるの? って……。うれしかったし、「この人の前では、絶対に正直でいよう」と思いましたね。

斎藤― 僕も、それから何か困ったことがあったときには、いつでも三鈴さんを頼ってます。

神野― 工くんの言葉でもうひとつ忘れられないのが、映画のクランクアップのときに、若いスタッフに投げかけた言葉。僕が役者だからこの映画を撮れたと思っている人もいるでしょう、でも、そう思う暇があったら自分がしたいことに向かって動き出してください。そして、動き続けてください。そうすれば、見ていてくれる人が必ずいます、それを今、僕が証明しているんです、と。失礼な言い方ですけど、「コイツ、ただ者じゃないな」と思ったの。心から。

斎藤― リアルな気持ちだったんですよ。三鈴さんを含めて、皆がこんなに同じ方向を目指してくれていることに、ずっと感動して満たされていたから、撮影中、僕はまったく疲れなかった。信じてもらえることへの喜びや感謝は、今もものを作るときにはずっと変わらずにあります。

【神野三鈴さん×斎藤工さん】 スペシャル対談「会う前から、他人じゃなかった」

神野― その後、工くんが海外の映画祭に連れて行ってくれたときも、ああ、この人は自分が褒められることより、誰かと誰かがつながっていくことを喜ぶんだなと実感しました。工くんのお姉さんが「あの子はそういう役割を持って生まれてきたの」って言ってたのは、本当だなぁと。

斎藤― それもたぶん、三鈴さんと真さんの影響です。おふたりは、表現や活動を通じて、いろんな人の背中を押している。それによって花開いた人が、僕の家族も含めてたくさんいて……。だから僕も、自分は今、何ができるだろう? と考え、見出そうとしているんじゃないかなと。

希望を捨てず、大人も「発酵」していきましょう!

【神野三鈴さん×斎藤工さん】 スペシャル対談「会う前から、他人じゃなかった」

斎藤― 中国の映画祭に行ったとき、ある観客の方から「齊藤監督は一貫して母の愛を描いていますね」と言われて、三鈴さんの演じたお母さんの造詣が自分のクリエイティブの原点なんだとあらためて感じました。昨年公開した児童養護施設のドキュメンタリー『大きな家』にも、それが表れていると思います。

神野― 子どもたち、素敵だった。大人たちも。

斎藤― そうですね。映画を作り終わった後も交流を続けているんですが、今の子どもたちって、自分の幼少期と比べられないくらい、いろんな可能性を持っている。彼らの存在は間違いなく希望だし、大人にできるのは、その未来をどう守れるか……世代の〝定め〟を自覚する、そんなふうに自分が変化しているのを感じています。

神野― 今度は工くんが「見ていてくれる人」の側になるのね。大人が若い人たちを純粋に伸ばしていける進化を、世界全体がしていると信じたいです。でも、人って必ず歳をとるじゃないですか。老いたときに希望や可能性がなくなるように思わされている今も、変えたくて。

斎藤― そうですね。本当に。

神野― 歳をとることへの恐怖があると、人間の宿命を嫌がらなくちゃいけなくなる。だから、若い人たちのためにも、大人の生活が心豊かで創造性のあるものでありたい。最後の最後まで足掻いて、そしてだれかのために何ができるかを探したい。

斎藤― いいですね。三鈴さんらしい。

神野― それに、大人になって見えてくるものもあるじゃない? 若いときには守ることすらで
きなかった大切な人やものが、はっきりと。だから、大事なのは、まず命をつなぐこと! 命があれば、明日、考えられることがあるはずだから。

斎藤― 思い出したんですが、コロナ禍のとき、〝発酵〟が注目されたことがありましたよね。微生物の世界では、時間を経ての変化に発酵と腐敗があって、状態は近いんだけど、周りに及ぼす影響がまったく違う。目指したいのは……。

神野― 発酵ね。人間も、発酵していかないと。

斎藤― はい。そうなっているかどうかは、本人がどれだけ雄弁に語ろうとも、周りを見ればわかることだったりします。こうして今、三鈴さんが僕や周りの人たちにどう接しているかを見ると、これはもう、確実に発酵なんですよ。

神野― 本当? バイキンになってない?(笑)

斎藤― 大丈夫です(笑)。悲しいかな、人間、放っておくと腐敗が進みやすいから、どうにかして発酵に舵を切り続けていく。それが、あるべき歳の重ね方なのかなと思っています。

〔映画 〕 blank13 13年失踪していた父を送る。兄と母、そして見知らぬ人たちと―。放送作家の実話を元にした、齊藤工初長編監督作品。 高橋一生さん、父役のリリー・フランキーさん、兄役の斎藤さんとの共演は「どの瞬間も愛おしかった」と神野さん。 2018年公開。

〔映画 〕 blank13

13年失踪していた父を送る。兄と母、そして見知らぬ人たちと―。放送作家の実話を元にした、齊藤工初長編監督作品。
高橋一生さん、父役のリリー・フランキーさん、兄役の斎藤さんとの共演は「どの瞬間も愛おしかった」と神野さん。
2018年公開。

〔 映画 〕 大きな家 18 歳までの期間限定の「家」=児童養護施設で暮らす子どもたち、その成長と魂の軌跡を追ったドキュメンタリー。プロデュース齊藤工、監督竹林亮。 「この映画を作るためにずっと映画に関わってきたのかもしれない」と斎藤さん。 2024 年公開。

〔 映画 〕 大きな家

18 歳までの期間限定の「家」=児童養護施設で暮らす子どもたち、その成長と魂の軌跡を追ったドキュメンタリー。プロデュース齊藤工、監督竹林亮。
「この映画を作るためにずっと映画に関わってきたのかもしれない」と斎藤さん。
2024 年公開。

俳優
神野三鈴さん
神奈川県鎌倉市出身。1992年のデビュー以降舞台を中心に出演し、テレビドラマ、映画に活躍の場を広げる。第47回紀伊國屋演劇賞個人賞、第27回読売演劇大賞最優秀女優賞ほか受賞多数。最近の出演作にNHK連続テレビ小説『あんぱん』、金曜ナイトドラマ『魔物』、映画『TOKYOタクシー』など。

俳優・映画監督
斎藤 工さん
映画、ドラマなど話題作へ多数出演。現在公開中の映画『港のひかり』にも出演。待機作にNetflix映画『This is I』『禍禍女』『ROAD TO VENDETTA 殺手#4』がある。映像制作にも携わり、初の⻑編監督作『blank13』 では 国内外の映画祭で8冠を獲得。被災地や途上国での移動映画館主宰など、活動は多岐にわたる。


photograph: Isao Hashinoki[nomadica] styling: Kei Taguchi
hair & make-up: Yumi Narai( 神野さん), Shuji Akatsuka( 斎藤さん) text: Michiko Otani

大人のおしゃれ手帖2026年1月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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  • 〔映画 〕 blank13 13年失踪していた父を送る。兄と母、そして見知らぬ人たちと―。放送作家の実話を元にした、齊藤工初長編監督作品。 高橋一生さん、父役のリリー・フランキーさん、兄役の斎藤さんとの共演は「どの瞬間も愛おしかった」と神野さん。 2018年公開。
  • 〔 映画 〕 大きな家 18 歳までの期間限定の「家」=児童養護施設で暮らす子どもたち、その成長と魂の軌跡を追ったドキュメンタリー。プロデュース齊藤工、監督竹林亮。 「この映画を作るためにずっと映画に関わってきたのかもしれない」と斎藤さん。 2024 年公開。

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