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大人のおしゃれ手帖 4月号

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大人のおしゃれ手帖
2026年4月号

2026年3月6日(金)発売
特別価格:1640円(税込)
表紙の人:麻生久美子さん

2026年4月号

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酒井順子さんエッセイ【野生動物の脅威は東京にも】

野生動物の脅威は東京にも

二〇二五年の漢字は、「熊」。
秋から連日、熊のニュースが報じられていましたが、自然から離れて住む人や、熊のいない地域に住む人は、怖いけれど自分にはあまり関係のない話、と思って見ていたことでしょう。

私もその一人だったのですが、そうとも言っていられない事態が発生しました。
我が家には一本の柿の木があり、毎年たくさんの実をつけるのですが、その柿が、何らかの動物にかなり食べられてしまったのです。

例年、柿を鳥がつつくことはありました。が、鳥が食べるのは柿のごく一部。
しかし今回は、丸々一個をしっかり食べた残骸があちこちで見られたのであり、このような事態は初めてのこと。

ニュースでは、熊が柿を食べる映像もかなり流れていました。
が、我が家は東京の二十三区内であり、熊の出没地域ではありません。

昨今は都内に猿が出没するそうだし、猿なのか?……とぶつぶつ言っていると、「ハクビシンじゃないかしら。最近、この辺りで目撃情報がけっこうあるから」と、ご近所さんが言います。

なるほど、と私は膝を打ちました。私も近くの神社の辺りで、それらしき影を見かけたことがありましたっけ。

フルーツが大好きとのことですから、我が家の柿などはまさに、ブッフェ状態だったのではないか。

例年は百個以上の実をつけるのですが、今年は不作だった我が家の柿。
ただでさえ少ない実が、夜が明けるたびに減っていくのは、やはり夜行性だというハクビシンのせいだったのかもしれません。

秋も深まると、私は毎年、友人達と柿収穫祭を行っています。
我が家の柿は意外においしく、ご近所さんに人気なので、脚立や高枝切りハサミなどを駆使してせっせと柿を収穫するのです。
が、今回はそんなわけで収穫が激減。

「ハクビシンに気づかれてしまったか!」
「次回はハクビシンに食べられるよりも早く、収穫祭を開催しなくては」と誓い合ったのです。

ハクビシンは夜行性とは言うものの、庭に何らかの野生動物がいるかもしれないという状態は、怖いものです。家を出る時は、ドアを何回かガチャガチャと開閉して、人が通ることをアピール。

動物と鉢合わせしないようにしました。ハクビシンですらそうなのですから、ましてや「熊が庭にいるかもしれない」という状況がどれほど怖いことか、と思います。

冬、柿の木もすっかり落葉し、庭には平和が戻りました。が、また秋が来ればこの平和が破られてしまうのかと思うと、人間に対して動物達が何かを訴えようとしている気がしてならないのでした。

酒井順子さん
1966年、東京都生まれ。高校在学中から雑誌『オリーブ』にコラムを執筆。大学卒業後、広告会社勤務を経て執筆業に専念。2003年刊行の『負け犬の遠吠え』がベストセラーに。近著に『ひのえうまに生まれて─300年の呪いを解く』(新潮社)。


文/酒井順子 イラスト/升ノ内朝子

大人のおしゃれ手帖2026年3月号より抜粋
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