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2024年10月号

2024年9月6日(金)発売
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【注目の展覧会】日本の美意識とチャレンジ精神
「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」

大人のおしゃれ手帖編集部

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今年12月に90歳を迎えながらも現役でチャレンジをし続ける陶芸家、鈴木藏(すずきおさむ)さん。
「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」(国立工芸館/6月2日まで開催中)は、やきもの「志野」をライフワークとする鈴木藏さんの初期から最新作までの作品を一挙に見られるとあって、見逃せない展覧会です。

(トップ画像)
鈴木藏 《志野茶碗》2019年 個人蔵

力強く多彩な作風で奥深さを知る

鈴木藏 《志野陶塑》2018年 個人蔵
展覧会のポスターなどにも使用されている大型の花器。力強くスケールの大きな造形には、鈴木藏さんの自然観がうかがえる。「花器」は2010年代後半から名称が「陶塑」(とうそ)となり、より彫刻的な意味合いが込められたという。


今回、展示作品は128点にも及びます。展覧会の見どころを国立工芸館館長の唐澤昌宏さんに伺いました。
「鈴木藏氏は、60年以上にわたり『志野』一筋で作品を制作してきました。薪窯(まきがま)でしか焼けないといわれてきた『志野』にガス窯で挑戦し、『力強い』という言葉がふさわしい独自の作風を確立するとともに、多彩な志野を生み出してきました。その姿勢や作品は、多くの後進にも影響を与えています。展覧会は、その60年以上もの歩みを、初期から最新作までの作品とともに紹介します」

展示は4部構成。Ⅰ章では最新作の茶碗を15点。Ⅱ章では鈴木さんが世に知られることになった大型の皿や花器を中心に。Ⅲ章では制作がメインとなる、初期から今の茶碗と水指。多彩な技法による作品の数々。Ⅳ章では会席の器を紹介しています。
「最新作は15点、また初期の入選作などで氏の奥深さを実感されることでしょう。近年の大型花器『志野陶塑(しのとうそ)』(上記写真)など、作者の自然観にも触れることができると思います」(唐澤さん)

また、各章ごとに「コラム」と称してこぼれ話的な関連事項も。膨大なテストピースの一部や、鈴木藏さんの長男・鈴木徹さん、三男・鈴木健さんの近作も展示されています。

*次ページでは、見るべき茶碗2選をご紹介します。

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