人生折り返し地点
暮らしの整理術 〜part2 お金〜
定年までにはまだ時間がある50代。
これから必要なお金を考え不要な保険やコストを見直しましょう。
目次
死亡保障はいらなくなる時期医療保険も必要か考えて
若いころに入った保険を続けているなら見直しを。
「死亡保障の保険は、学費を払い終わるころ解約してOK」(下村さん)。
「新たに医療保険に入る人も多いですが、国の高額療養制度が使えます。その分貯蓄をしておけば、医療費以外にも使えるので、本当に必要な保険かどうかはよく考えて」(井戸さん)。
不安な人は保障額と同額程度の資産を、いざという時のためとして、分けておくのもいいでしょう。
退職金で一攫千金を狙うよりコツコツ積み立て投資を
そろそろ退職金をもらう時期が近づいてきますが……。
「退職後1年は、金融機関から投資のセールスなどを受けやすい時期。
預金と投資信託がセットになったものは、長い目で見るとお得とは言えません。一種の不安をあおる方法なので、1年は手を出さず冷静に」(井戸さん)。
また、年金不安から、リスクの高い株に手を出す人もいますが、初心者が大きく儲けるのは難しいもの。
投資をしたいなら、つみたてNISAなど、リスク分散できるものを、50代のうちから始めておくほうがいいでしょう。
使わない銀行口座やクレジットカードは解約を
クレジットカードは数が増えれば、管理も大変だし紛失のリスクも。
割引特典をよく使うカードなどに厳選を」(下村さん)。
「退会は本人でないと、確認に時間がかかります。今後のことを考えて、今のうちから整理して」(井戸さん)。
銀行口座も、一部の金融機関では口座維持手数料を検討しています。
残高ゼロの口座は、整理しておくのが吉。
固定費のムダを洗い出すのがコスト削減の第一歩
節約をするときは、食費などをコツコツ減らすよりも、固定で引かれるものを洗い出し、見直すほうが効率的です。使っていないサブスクサービス、スポーツジムの年会費などバカになりません」(井戸さん)。
また、電力の乗り換えをする、スマホをSIMフリーにするなど、下調べが必要なものは、年齢とともに面倒になるもの。
理解力、行動力がある今のうちに、乗り換えしておくのがおすすめです。
老後に必要なお金を知っておく
老後資金が2000万円必要だと話題になりましたが、老後の生活にいくらかかるのか、いくらもらえるのかは人によって違います。どれくらいの生活レベルを望んでいるのか、考えるところからスタート」(下村さん)。
「まずは、年間の生活費を大まかに把握。50代になると「ねんきん定期便」に、年金がいくらもらえるか具体的な金額が記載されるようになります」(井戸さん)。
下記の計算式を使って、必要な貯蓄をシミュレーションしてみて(収入により、年金からも住民税や社会保険料は引かれるので注意)。
貯金も合わせて、収支が黒字になりそうだったらOK。
足りない人は固定費を削減したり、積み立て貯金をしたり、短時間でも働き続ける方法を考えるなど、対策を始めましょう。
\ 計算してみよう /
これから必要なお金
(年間の生活費(①)-[年金額×0.9(所得税)])×39年(*)
=生活費の不足額(②)
②+介護・医療費800万円+イベント資金
=これから必要なお金総額
①→毎月の生活費×0.8×12か月+ローン、臨時出費など
*50歳から平均余命までの年数
相続について家族で話し合う
親から実家を相続する予定という人も多いはず。
地価の高いエリアに家がある場合は、不動産評価額も高くなり、高い相続税を払う可能性も。
親と同居していた場合は評価額が80%オフになりますが、
同居をしていなくても、「親が独居、かつ相続人が(相続開始前の)3年以内に(相続人の3親等以内の) 親族が所有する家に住んだことがない」場合は同じ制度が適用できます(家なき子特例)。
賃貸暮らしだという人は、きょうだいなどと相続について早めに話し合っておくのがいいでしょう。
車や家具はリースにするのもひとつの方法
持費がかかったり、買い替えが必要になるものはリースで済ませるのも身軽になるひとつの方法。
「都市部でたまにしか車を使わないなら、カーシェアリングに変更を。週に1回程度の利用なら月額2万円くらいで収まることが多く、駐車料金や自動車税を払うよりもお得です」(井戸さん)。
家具や家電もレンタルサービスが増えていて、ちょっと使ったら飽きてしまいそうな調理家電や、いずれは不要になりそうな家具などは、借りて済ませることができます。
お話を伺った方
ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士
井戸美枝さん
講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題について解説。
近著に『お金がなくてもFIREできる』(日経プレミアムシリーズ)など。
ライフオーガナイザー®、ファイナンシャルプランナー
下村志保美さん
夫の転勤で海外生活を経験し、本当に必要なものだけで暮らす生活を実践。
セミナーや個人レッスンで活躍。
著書に『片づけのプロが教える心地いい暮らしの整え方』(三笠書房)。
イラスト/篠塚朋子 文/田中絵真
大人のおしゃれ手帖2022年12月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
関連記事
-
-
-
-
-
-
-
PR
-
PR
-
PR