【漫画レビュー】『ハコヅメ』泰三子さんが描く『だんドーン』の日本史が胸アツ!
警察官だったからこそ描ける川路正之進のキャラクターが泣ける!
史実もののエンタメコンテンツでよくいわれるのが「史実と違うから興ざめする」。
どれだけ資料を基に緻密にお話を展開していたとしても、やはり小説やドラマ、映画にはその作者の考えや「こうあってほしい」という思いが上乗せされているように感じる人が多いのではないでしょうか。
過度な脚色は、熱心な歴史ファンからの批判やストーリー離れの一因にもなったりますが、私は、泰さんが付け足されたり、史実から「こうだったのかもしれない」と想像して描いた部分こそが、とても魅力的だと感じています。
この川路正之進という人物は、司馬遼太郎の『翔ぶが如く』という作品のなかでも描かれています。『だんドーン』の歴史の監修者である郷土史家の先生と、泰さんが話されたときに、司馬遼太郎も川路を主人公として描きたかったけれど、とても資料が少なくて描けなかった、というエピソードが出てきます。(『「もう何も描きたくない」と思った──『ハコヅメ』の泰三子が語る、新連載が8ヵ月遅れた理由』より。このインタビューも面白いのでぜひご一読ください)
川路正之進は、今の日本の警察組織の大元を作った人。
10年間警察官として働いてきた泰さんは、この川路の数少ない資料をみたときに、これまで警察でお世話になった上司の顔が浮かんできたそうです。
「警察」という仕事を通じて、川路正之進の人間性がたくさんの人に“DNA”として組み込まれていったということも、あながちない話ではないはず。
史実だけではあぶり出せなかった川路の一面を泰さんが描いているように感じられ、そして私はそのシーンに特に心をわしづかみにされてしまいました。
個人的には日本はとても治安が良いと思いますし、それは警察の方々が日々頑張ってくださっている部分が大きいのかなと感じています(これも色んなお考えの方がきっといらっしゃるはずですが)。
まして、江戸時代、今より地位が低かったとも言われている警察という職(これも諸説あります)。
繰り返しになりますがこれは史実ではないかもしれないけれど、そんな世界のなかでも、誰かのために毎日一生懸命走り回っている川路正之進にどうしても今の日本の警察の方々の姿を重ねてしまいます。
そして泰さんらしさがさく裂している箇所でもあるのですが、川路本人が「武士らしくない」自分を恥じたり、迷いながらも、誰かのために正しいと思うことを全うしようとするところにもグッときてしまいます。
泰さんが描く川路正之進を読んでいると、とても謙虚な気持ちになり、今住んでいる日本も、なかなか良いではないかと誇らしい気持ちが湧いてきます。
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