【5月の注目アート展】
テルマエ・ロマエの世界に誘う!
日本人が愛してやまないお風呂のルーツ、すべては「ローマに通ず」!?
古代ローマの大衆に親しまれた公共浴場の世界を紹介。
絵画・彫刻・考古遺物から見えてくるお風呂文化とは?漫画『テルマエ・ロマエ』の主人公ルシウスが案内!
仕事が終われば、まずテルマエへ。
日本人が愛してやまないお風呂のルーツも、すべては「ローマに通ず」!?
人類史上に輝く繁栄を誇った古代ローマ。その豊かなくらしと優れた建築技術を象徴するもののひとつにテルマエ(公共浴場)があります。
テルマエは、ローマ人の日々のくらしに欠かせない場所でした。市民は、無料か格安の料金でテルマエを利用でき、毎日仕事を終えると多くの時間をここで過ごしました。
本展では、テルマエを中心に、お風呂文化にまつわる古代ローマの生活と美術について、ナポリ国立考古学博物館からの出品作品を含む絵画、彫刻、考古資料といった100件以上の作品と模型や映像を通して紹介します。
出品作のなかでも、ナポリ湾に浮かぶイスキア島のニトローディの温泉で出土した《アポロとニンフへの奉納浮彫》は、注目いただきたい作品です。
大理石製の浮彫で、竪たて琴ごとを手にしたアポロと、水に関連したモティーフである貝殻や水瓶を抱えた3人の泉のニンフが表されています。
治癒効果のあるニトローディの温泉では、治癒神アポロと泉を守護するニンフが古くから祀られていました。下部には、これが健康の回復や治癒といった誓願成就の奉納であることが記されています。入浴が健康や医療と直結し、信仰ともつながっていたことを示す作品といえます。
最終章では、日本の入浴に関する美術品や資料も紹介し、独自の風土のなかで育まれた日本の入浴文化の歴史を概観します。
古代ローマと日本の入浴文化を体感し、比較することのできる展覧会です。
どうぞお楽しみください。
トップ掲載作品:《アポロとニンフへの奉納浮彫》2世紀 大理石 ナポリ国立考古学博物館蔵Photo © Luciano and Marco Pedicini
教えてくれたのは・・・
パナソニック汐留美術館
主任研究員
萩原敦子さん
慶應義塾大学文学研究科博士課程前期修了。専門は西洋絵画。パナソニック汐留美術館での主な企画担当展覧会は、『ジョルジュ・デ・キリコ』(2014年)、『ルオーとフォーヴの陶磁器』(2015年)、『ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち』(2019年)、『ルオーと日本展』(2020年)など。
『テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本』
場所: パナソニック汐留美術館(東京都)
開催 : 開催中〜6月9日(日)
開館 :10:00〜18:00
※5月10日(金)、6月7日(金)、8日(土)は20時まで開館(入館は閉館の30分前まで)
閉館 :水曜 ※ただし、6月5日(水)は開館
050-5541-8600(ハローダイヤル)
この記事を書いた人
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