【注目の展覧会】日本の美意識とチャレンジ精神
「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」
展覧会を楽しむためのミニ知識
「志野」とは?
「志野は日本で生まれた独特の創作であり、日本人の感性、美意識といった最も基本的なことのすべてが凝縮されている」(鈴木藏さん)
「志野」は日本陶磁の歴史において、初めての白いやきものであるとともに、初めて筆を使って絵付を施したやきもの。16世紀後半の桃山時代にその多くが美濃で生み出され、茶碗、水指、花器、向付などさまざまな茶の湯の器がつくられました。白い釉薬(ゆうやく)が特徴的。色合いの変化によって生まれるほのかな赤みの「緋色」、表面のところどころにあらわれる、ぷつぷつとした表情の「ゆず肌」が魅力です。
「ピンク色」「継色紙」……独自の技法をチェック
鈴木藏さんの代名詞「ピンク色」
ピンク色は桃山時代にはなく、鈴木藏さんが生み出した現代ならではの色という。こちらの茶碗は絵付けなど装飾がなく、胎土(たいど。原材料の土)と釉薬の関係で生み出された「無地志野」。温かみのある色合いが奥深い印象。
鈴木藏《志埜茶碗》 1997年頃 個人蔵
平安時代の美意識を取り入れた「継色紙」
継色紙(つぎしきし)とは平安時代の歌集などの用紙に用いられた装飾技法で、鈴木藏さんが志野に取り入れた独自の技法。三種類の土をつなぎ合わせて効果を出しています。こちらの茶碗では、赤土をベースに白土とピンク色になる土をつなぎ合わせて文様を浮かび上がらせています。
鈴木藏《志野茶碗》 2023年
*次ページでは会場を訪れた鈴木藏さんのコメントと、展示会情報をお伝えします。
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