【新しい生き方を見つけた女性たち】
デザイナーから雑貨・喫茶店店主に
今井クミさん
年齢とともに、これまで築き上げてきた愛着のある人や物を大事にする一方で、新しい景色に出会いたい―と新しい挑戦をした3名の方々を取材しました。
デザイナー → 雑貨・喫茶店店主
今井クミさん
60歳
東京でデザイン事務所を運営するアートディレクターから、鎌倉で喫茶兼ギャラリーの店主へ。スキンケアブランド「joscille」も立ち上げる。
https://apis-and-drive-shop.com
新しい生き方を見つけた女性たち
つながりを大切に心から良いと思えるものを販売したい
観光客で賑わう鎌倉駅から少し離れた佐助エリアの山側に佇む「アピスとドライブ」。
ここはデザインを生業にしていた今井クミさんが一昨年の11月にご夫婦で立ち上げた喫茶兼雑貨店です。
「それまでは神宮前にオフィスを構えて、多くの社員と一緒にさまざまな企業のパッケージデザインやディレクションを行っていました。
商品の企画段階からクライアントと伴走して、〝育てる〟過程がとても楽しかったんです。徹夜で仕事をすることも当たり前で、今では考えられないほどパワフルでした」
転機が訪れたのは2020年のコロナ。会社が完全リモートになり、都心でも外を歩く人が消え、非現実のような世界に直面したときでした。
自分の生活を見直し、50代後半は「自然豊かな場所で、人間らしい生活がしたい」と感じたそう。
コロナを経験したことで「人生何があるかわからない! やりたいことをして好きな場所で暮らそう」と気持ちがシフトしたそう。
そこで出合ったのが、プライベートで訪れた鎌倉という場所。山に囲まれ、近くには海もある。歩けば常に土のにおいに包まれ、それだけで癒やされたのだとか。
「この土地に魅せられて、移住を決めましたが、友人知人の手がけたものを含めて大量生産ではないものを自分の手で売ってみたいと思っていたので、その夢も一緒に叶えてしまおうと思って」。
そうして完成したのが、1階は喫茶兼ギャラリーの「アピスとドライブ」とオフィス、2階は自宅の一軒家。1階には、今までオフィスで愛用してきた家具が並び、そこに今井さんがセレクトしたアイテムが置かれています。
「勢いと行動力を総動員して挑戦してみましたが、暮らしも仕事も、心から良いと思える瞬間が多く日々が充実しています」
この記事を書いた人
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