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2024年12月号

2024年11月7日(木)発売
特別価格:1650円(税込)
表紙の人:天海祐希さん

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【インタビュー】髙砂雅美さん
「見ようとしないと見えないものがある」
身近な自然を感じる、都会での暮らし

大人のおしゃれ手帖編集部

見ようとしないと見えないものがある

人は人生においてそれぞれにいくつかのターニングポイントがある。人生がガラッと変わってしまったり、最初はよくわからず予感だけで目指した世界が次第に開けたり。

雅美さんは20代に志したアングラ演劇に区切りをつけ、マリンスポーツの出版社に入って「こんな明るい、ぜんぜん違う世界があるんだ」と驚いたという。

しかしアングラ芸術を志した人だったからこそ、巡り巡って海や大自然の奥の見えないものを心の目で見るようになっていったのだろう。その出版社で水中カメラマンの夫と会い、娘を出産。その後、2000年に見た「夜の虹」が、今の雅美さんの暮らしや仕事につながる大きな大きなターニングポイントになる。

「家族でハワイに滞在した時に、夫が『メディスンマン』に出会い、夜空に出る虹がある、と聞いたんです。その3日後に実際に『夜の虹』を見ることができて。それから、夫の『夜の虹』を追いかける旅が始まりました。何度か私もいっしょに見ることができたのですが、その体験で見ようとしないと見えないものごとがあるのだと気づきました」 

例えば、夜空に虹がかかっていても、気づかない人も多いという。その後、震災を経て、友人から勧められた海洋プラスチック汚染に関する映画を見る。
「私たちは何でも海に捨ててきたんですよね。プラスチックは人間の暮らしを助けてくれるもので、プラスチックには罪はありませんが、人間たちが追求する便利な暮らしを少しでも見直せたら、と思いました」 

それから雅美さんは毎日ひたすら自宅から出るプラスチックゴミを撮影し続けた。得意技の可視化だ。 「こんなにプラスチックを使っているんだと驚きました。でも記録していくと、次第にゴミの量は確実に減っていきました」

ゴミを減らすためにアイデアを出して実行していくことで暮らしの中で創造性が動き始めた。
「制限のある暮らしの中で工夫するのがとにかく楽しい。思いがけない人生になりました」 

使ったプラスチックをきれいに洗って撮影すると、そこには今まで見えていなかったものが写っていた。「あるのに見えていない、目を凝らすと見えてくる」という「夜の虹」は、今も雅美さんの生き方の根幹にある。

生ゴミを減らすために始めた微生物によるコンポスト。
雅美さんは室内に置き、微生物と暮らす気持ちで楽しんでいる。

生ゴミを微生物が分解する時に出る電流を使った発電にも挑戦中。
生ゴミは大切な資源でもある。

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