アラン・ドロン、アヌーク・エーメ、2024年に死去したフランスの人気俳優主演作3選
アヌーク・エーメの美しさは不変! 運命の愛から53年後を描く
『男と女 人生最良の日々』
「ダバダバダ、ダバダバダ……」のスキャットで知られるフランスの恋愛映画の名作『男と女』でヒロインを演じたアヌーク・エーメ。ワンレングスのボブを無造作にかきあげるアヌークの大人っぽい魅力に憧れた人も多いのではないでしょうか。
しっかりした眉と大きな目が印象的なアヌークは若い頃から美貌が注目され、『モンパルナスの灯』や『甘い生活』などに出演。アヌークが30代前半で撮影したクロード・ルルーシュ監督の『男と女』が第19回(1966年)カンヌ国際映画祭グランプリを受賞し、自身もゴールデングローブ賞の主演女優賞に輝きました。
『男と女』は、早くにパートナーと死別したシングルの男と女が惹かれ合う過程を描いた大人の恋愛映画です。ジャン・ルイはカーレーサー、アンヌは映画監督の助手をしていて、それぞれの幼い子どもを同じ寄宿学校に預けている縁で知り合います。互いを愛し始めながらも、過去に伴侶を失っていることや子どもがいることもあり、臆病になってしまう……。
あの二人はどうなったのでしょうか。あれから53年後を描いた映画が、『男と女 人生最良の日々』です。監督はクロード・ルルーシュ、主演はアヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャン、音楽はフランシス・レイ、『男と女』のメンバーが皆80代になって再集結しているというだけで感無量です。また、アンヌの娘とジャン・ルイの息子を演じていた当時の子役も本作に出演しています。まさに奇跡のような映画なのです。
物語は、元カーレーサーのジャン・ルイの息子が、記憶を失いかけている父のために、父がずっと追い求めている女性アンヌを捜し出すところから始まります。その思いを知ったアンヌは、ジャン・ルイが暮らす老人ホームを訪ね、二人はついに再会するのでした。
『男と女』のアンヌのまま年を重ねたアヌーク・エーメが美しい! 風に揺れる髪をかきあげる仕草が昔と同じで、それを見たジャン・ルイが喜ぶシーンが可愛らしく、また切なくもあります。昔の二人の情熱的なシーンと現在を織り交ぜながらも、ノスタルジック一辺倒にはならず、ユーモアも交えて希望を感じさせるルルーシュ監督の手腕が見事です。『男と女』の官能的な二人の姿も、また80代となり味わい深さを増した二人の姿も、一度に楽しめて大満足の作品です。
立っているだけで絵になるアヌーク・エーメ。2024年6月18日に92歳で亡くなった大女優は、70年以上にわたって世界中の人々を魅了し続けました。
『男と女 人生最良の日々』
2019年製作
Blu-ray、DVD発売中&デジタル配信中
発売・販売元:ツイン
© 2019 Les Films 13 - Davis Films - France 2 Cinéma
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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。