書き手の追伸
~群ようこさん~
初めてのスマホに奮闘する日々をユーモラスに、ときに切実に綴った群ようこさん。
大人世代ならそうそう! と共感できるエピソードの連続です。
今後の暮らしのテーマは“無理をしない”こと
これまで、スマホはもちろん、携帯電話すら持っていなかったという群ようこさん。
ところが時代の流れとともに固定電話からタクシーが呼びにくくなり、「シニアになった愛猫に何かあったときにすぐ病院へ行けるように」と、しぶしぶながら購入を決意。
何度も要求されるパスワードや小さな画面、文字入力のしにくさに閉口しつつも、友人とLINEスタンプを送り合ったり、アプリで花の名前を調べたり。
なんとか活用するさまをコミカルに綴ったのが、最新エッセイ『スマホになじんでおりません』です。
スマホに慣れた今も、使っているのは最小限の機能のみ。
仕事のやり取りやインスタを見るのもパソコンで、よほど急ぎでない限りスマホは使わないし、持ち歩かない…という距離感が、なんとも群さんらしいところです。
「持つ前は、なぜみんな電車の中でも駅のホームでもスマホを見ているんだろう…? と不思議だったんです。
寝落ちするまで見る人もいると聞きますしね。
自分も持てばその気持ちを理解できるようになると思っていたけど、余計にわからなくなった(笑)。
もちろん便利な点もあるけど、何でもスマホで…というのは今も抵抗がありますね」
これからの暮らしのテーマは「無理をしないこと」。
「今の家はマンションだけど小さな庭があって、草むしりと落ち葉掃きは私が担当なんです。
雑草がぐんぐん伸びてきて、今は大変な時期なんですけど…(笑)。
そういう作業をするのも初めてなので、意外と新鮮で面白いんですよね。
ときどき猫の足跡がテラスについていたりして、夜に散歩しに来たのかな? と考えたり。
そういう何気ないことが楽しいんです」
『スマホになじんでおりません』
群ようこ ¥1,430(文藝春秋)
「絶対にスマホなんか持つものか」と思っていた群さんが愛猫のために購入を決断。
導入に奮闘する日々を描いたエッセイ。
横に置いたご本人のスマホケースは人気猫のヨウカンさん。
真ん中には愛読する猫マンガ『俺、つしま』のステッカーも。
文/工藤花衣 写真/山本あゆみ
大人のおしゃれ手帖2022年9月号より抜粋
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