『女性の品格』著者が提言する
50代女性の新・バイブル
「品格・たしなみ」に続く次世代のキーワード
それが「生きる覚悟」
目次
坂東眞理子さんからのメッセージ
「人生半ばでのギアチェンジは
誰もが避けられない」
女性の平均寿命は今や87.74歳。全力で働いた後に定年を迎え、子供が巣立ったらあとはのんびり暮らす…そんなモデルケースは今や現実的とは言えません。現在50歳として、30年以上の余生は長すぎます。今まで我々が抱いていた「人生の後半戦」は、もはや幻想となりつつあるのです。そんな中、坂東さんは「70代まで何らかの形で働くのは当たり前の時代になってきています」と言います。とはいえ、若かりし頃のような働き方ではなく、新しいスキルを身につけたり、今までやってきた仕事とは違う新しいフィールドへあえて身を置くことをおすすめしています。「迷いと焦りの中年の危機こそ、新しい人生に踏み出すチャンスでもあるんです。勇気を出して進めば、新しい世界が広がります」
有形資産ではなく
重要なのは無形資産<稼げる力>
老後のために万全の備えをすることは現実的ではありません。坂東さんは一番確実な備えはお金や不動産ではなく60代、70代でも年金以外に「稼げる」力を持つことであると提言しています。
「2000万円貯めるよりも、月に8万、年に100万円を稼ぐ方が現実的だと思います。今までの経験が生きる仕事や現役のころに近い収入という仕事は多くないですが、1年に100万円ほどと目標金額を明確にすればそれに合致する仕事はあります。能力や経験ではなく、普段の仕事に対する態度が誠実でチームワークが取れる人はきっと、歳を重ねても重宝されるはずです」
女性だけが担うものではない。
家事・育児・介護はシェア
大人のおしゃれ手帖世代であれば、「親の介護」が現実味をおび、向き合い方に何らかの悩みや戸惑いを感じている人も多いはず。坂東さんは、抱え込むのではなくシェアすることを推奨しています。
「他人に親の介護を任せてはいけないと思い込んでいることは、育児は母親がしなければならないという思い込みと同じように、女性の人生を縛ります。家事や育児・介護が女性の仕事であるという『思い込み』は、女性が社会的に弱い立場のときにつくられた『アンコンシャスバイアス』であり古い固定観念です。
自分以外の家族や専門家にサポートしてもらうことも視野に入れましょう。親の介護がいつ必要になるか、誰にもわかりません。そうなったらそうなったときにできることをする、それまでに自分のパワーを最大限に高めておくことが一番だと今は思います。パワーとは、経済力だけでなく、親への説得力、情報収集力などを含めた総合力のことを指します」
モノは捨てても
人は捨てない
「断捨離」という言葉が定着した昨今。モノを整理する動きに加えて、コロナで疎遠になったことをきっかけに、人間関係まで断捨離する人の話を耳にするようになりました。
「尊敬できる人、世話になった人、助け合った人のことは、忘れないようにしたいものです。覚えているのが面倒だ、ごぶさたしていると心の負担だからと切り捨てる、というのは残念です。会うことがまれになっても、大事な友人として心の中で敬意を持ち続け、何か声がかかったら一肌ぬいで、協力するような長期保存の人間関係を大切にしましょう。
人生が長くなってきているということは、人間関係を長い視点で考えなければならなくなっているということです。短期のその時々で『親友』をつくり、断捨離して使い捨てていくのではなく、好意を持てる人が少しずつ増えていく、その人たちと柔らかくつながっていくのが豊かな人生の重ね方だと思います」
自分の人生の責任者は
自分でしかない
「50歳前後の女性がどう生きるか…の大前提は一人一人の女性が『覚悟』を持つことです。女性は後半期の人生を前に多くの不安にとらわれますが、それは後半期の人生の責任者は自分だと覚悟が定まっていないからです」。
年金制度や自身や配偶者の資産、子供のことに健康問題…不安材料を上げればきりがないですが、さまざまな事象を怖がっていてはなにも始まりません。坂東さんは「できることは自分を信じること」と言い切ります。
「自分の人生の責任者は自分なのだと覚悟しましょう。その覚悟が決まると『今やるべきこと』『やれること』をせいいいっぱいやるよりほかないのがわかってきます」