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大人のおしゃれ手帖 6月号

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大人のおしゃれ手帖
2025年6月号

2025年5月7日(水)発売
特別価格:1540円(税込)
表紙の人:木村佳乃さん

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人気“傘ソムリエ”が伝授!傘の正しいお手入れ法

久武ミキ

地球温暖化の影響か、予期せぬゲリラ豪雨に見舞われたり、強い紫外線にさらされる機会が増えたりと、環境の変化が気になる今日この頃。これまでは梅雨や台風の季節にしか登場することがなかった傘も、いまや365日携帯するのが当たり前になってきました。
そんな生活必需品、傘の正しい保管方法やお手入れとは?
どんな天気にも負けないプロおすすめの傘とは?
世界にたった一人しかいない“傘ソムリエ”、テレビなどでもおなじみ、土屋博勇喜さんにお話を伺ってきました。

傘の正しい保管方法

●雨傘の場合
傘は傘立てに立てかけておくもの。おそらく多くの人は、傘を玄関先のスタンドに出しっぱなし、あるいはシューズクローゼットにしまいっぱなしにしているのではないでしょうか。しかし「傘も、洋服やリネン類などと同じように、定期的に風を通してあげてほしい」と土屋さん。「傘を放置していると、まず骨よりも先に生地に傷みが表れます。そして雨天の中、開閉を繰り返すことで骨もやがて消耗し、骨のパーツから錆びはじめ、折れたり、分解したりしてしまいます。また、雨に濡れたまま放置していればカビが繁殖しやすくなり、これによってツンとした悪臭を発生させます。生地同士が張り付いてしまい、無理やり剥がそうとすると破れることもあります。雨傘は湿気の多い季節に使うもの、日傘は高温時に使用するものですが、傘にとって高温多湿な環境は大敵なんです」。傘の素材の多くはポリエステルまたは布、骨の部分は金属または樹脂です。いくら防水・はっ水加工を施しているとはいえ、濡れたまま、あるいはほとんど開閉することなく放置していると、生地や骨部分が劣化するのは当然のこと。「雨傘を使ったら広げて陰干しし、十分に乾かしてから保管すると持ちが良くなります」(土屋さん)。

●晴雨兼用傘の場合
3月から11月くらいまでは紫外線が強く、春・秋でも夏日になる日が続出する現代。そんななかで老若男女問わず需要が高まっているのが、内側に黒いコーティングが施された晴雨兼用傘です。「この黒いコーティングは『ポリウレタンコーティング』といいます。防水加工を施した生地の上から、さらに耐水性のあるポリウレタンを塗布して覆うことでUVカットや遮熱効果を高めている状態です。しかしこのコーティング、放置しているとボロボロと剥がれ落ちてきてしまうことがあるんです。これを『加水分解』といいます。この加水分解を起こさせないためには、雨傘同様、やはり風を通してあげることが重要。たとえ雨に濡れていなくても、普段なかなか登場しない傘であっても、定期的に開いて、30分ほど風を通してあげることが大切です。もしくは、手持ちの傘をローテーションで使うのもいいアイデアですね。ローテーションで使用すれば、使わないまま傷んでいくことも避けられ、メンテナンスさえしっかりしていれば、傘の寿命も長く保てるようになります」(土屋さん)。

傘を干すなら「浴室」がベスト!

傘を干すといって真っ先に思い浮かぶのは、広げた状態で持ち手を床に置いて干す方法。でも、この干し方では広いスペースが必要になります。「日陰に広いスペースがあるお宅やオフィスなどなら傘を広げて干すことも可能ですが、アパートやマンションなどの狭小な玄関・ベランダで傘を広げて干すのはなかなか難しいものです。そこでおすすめしたいのが『浴室干し』。お風呂場なら傘の汚れをシャワーで落としてそのまま干せるので、メンテナンスもしやすくて一石二鳥です」(土屋さん)。浴室に物干しがついているなら、傘の持ち手を引っかけて干せばOK。干す前に38〜40℃のお湯をサッと生地部分にかけてあげると、雨に含まれている不純物や、たたむ際についてしまった手の皮脂などを落とすことができ、はっ水性が保たれます。ビニール製の傘を干した後は、全体にベビーパウダーをはたいてあげると張り付き防止に◎。ちなみに浴室干しで浴室乾燥を使用する際は40℃未満に温度設定を。高温状態で傘を干すと持ち手部分や生地の加工が溶けてしまうこともありますので、ご注意ください。

雨水をきる時、どうしてる?

使用中の傘の雨水を振りはらう時、皆さんはどんなふうに傘を扱っていますか? 実はこの水きりにも注意点が……。「水きりをせず、濡れた状態で傘をたたんでしまうのはもちろんNGです。でも、水きりの際に傘をクルクルと左右に振り回したり、持ち手を持って強く振ったりするのもおすすめできません。なぜなら、傘は“横の動き”にとても弱いからです。傘についた雨水をきる時は開閉を数回繰り返してはらうようにするのがベストなんです」(土屋さん)。

傘のはっ水性を取り戻す方法

「裏にコーティングが施されていない布地の傘の場合は、内側に低温から中温に設定したアイロンを布をあてた状態でほんの数秒かけると元々のはっ水加工が復活します」(土屋さん)。アイロンをかけるといっても軽く“さする”程度でOK。しかし、ナイロン製のものやコーティングが施されているものの場合は、このアイロンがけはできません。すべての傘に共通するお手入れは「使用後は日陰で干して乾かし、最後に防水スプレーを吹きかける」これだけ。ちなみに防水スプレーの効力はだいたい1週間から10日ほどなのだそう。「傘のはっ水力は使用頻度によって異なります。はっ水力が弱まってくると、傘の生地の折り目部分に黒いスジが残るようになりますので、そんな傘の小さな変化を見逃さず、定期的に防水スプレーをかけてあげるようにするとよいと思います」(土屋さん)。

【今回お話を伺ったのは…】
世界で唯一の傘ソムリエ 土屋博勇喜さん

22歳から、大手ホームセンターでレイングッズを担当。さまざまなメーカーの傘に触れ、傘の虜となる。2019年株式会社ウォーターフロントへ入社。傘のスペシャリストとしてその魅力を世界に発信する傘ソムリエ、土屋さんのコレクション数はなんと現在230本! 所持する傘で自ら耐風性やはっ水性のテストを実施し、説得力のある接客で各メーカーやカスタマーからの支持も高い。販売はもちろん、レイングッズの開発、監修などを行いながら、各種メディアに多数出演。

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この記事を書いた人

エディター/ライター 久武ミキ

エディター/ライター久武ミキ

出版社、広告会社勤務を経て独立。女性誌、専門誌などでビューティー&ウェルネス、アートを中心に、ライフスタイルにまつわる記事を多数執筆。東京と鎌倉で2拠点生活をおくる猫好き編集者。

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