母への愛、母としての想いに共感! 母の日に観たい映画3選
『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre
赤やピンクのカーネーションがフラワーショップの店先を彩る今日この頃。今回は「母の日」にちなんで、さまざまな形で母への愛を描いた映画を紹介します。19歳で完成させたデビュー作『マイ・マザー』で一躍脚光を浴びたグザヴィエ・ドラン監督が再び母をテーマに描いた『Mommy/マミー』、若き日のジュリア・ロバーツが出演している母娘の愛を描いた『マグノリアの花たち』、母の日をないがしろにされていると憤る女友達3人を描くコメディ『アザーフッド 私の人生』の3作品です。
目次
俊才グザヴィエ・ドランが描く、母と息子の痛々しいほどの愛
『Mommy/マミー』
『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre
2014年の第67回カンヌ国際映画祭で審査員賞受賞した作品で、当時まだ20代半ばだったグザヴィエ・ドラン監督の才気が絶賛されました。
舞台は、架空のカナダ。シングルマザーのダイアン(アンヌ・ドルヴァル)とその一人息子で発達障害を抱えるスティーヴ(アントワン=オリヴィエ・ピロン)、彼らの隣人で吃音症を抱える女性カイラ(スザンヌ・クレマン)の関係を描いています。
『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre
15歳のスティーヴは発達障害のために突然に反抗的で衝動的になることがあり、そうなると周囲は手が付けられません。ただ、彼は母のことが大好きです。そんな息子を一人で育てているダイアンですが、彼女自身も口や態度が悪く、なかなかエキセントリック。そんな二人ですが、あれこれ言い合いながら一緒に歩く様子は楽しそうでもあります。
それを見ている隣人のカイラには夫も子どももいますが、彼女は吃音症により休職していることもあり、家庭に居場所がありません。そんなカイラがダイアンとスティーヴの手伝いをすることで、3人の関係が築かれていきます。
『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre
社会の中で肩身の狭い思いをしている3人は、不器用ながらも打ち解けていき、絆を育んでいきます。楽しそうな3人。それなのに、この関係が長くは続かないだろうという思って観てしまうのは、映画の冒頭に掲げられた法律の一文のせいです。彼らが住む架空のカナダでは、発達障害を持つ子どもの親が、子を育てられない状況に陥った場合、法的手続きを経ずに養育を放棄して施設に入院させる権利を保障した法律が可決されたのです。
『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre
この映画の画面は、正方形のフレームで始まります。今ではinstagramの画像で見慣れた正方形ですが、登場人物の顔がアップになると周囲の背景がほとんど映らないため、感情移入しやすいとともに息苦しさを覚えます。ダイアンたちはまさにそんな息苦しさの中にいるのです。それが、あるシーンだけ横幅が広がり、世界が広がります。そしてまた正方形のフレームに戻っていく演出は見事です。
映画の結末には賛否両論あるようですが、ダイアンはどのような道を選んだのか、ぜひ自身で観ていただきたいと思います。
『Mommy/マミー』
2014年製作
Blu-ray ¥5,170/DVD ¥4,180
発売元:ピクチャーズデプト
販売元:ポニーキャニオン
©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre
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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。