【50代のこよみ養生 Vol.29】熱中症対策の「暑熱順化」は、発汗を整える薬膳をとり入れて
発汗に関わる肺(はい)、肝(かん)、心(しん)を薬膳でサポート
発汗のプロセスは五臓の肺(はい)、肝(かん)、心(しん)の働きとも深く関わっています。熱中症が心配な場合は、これらをサポートする食材もプラスするといいでしょう。
東洋医学の五臓の考え方における肺は、私たちがよく知る呼吸器としての肺だけでなく、皮膚の働きも含まれています。特に肺の「宣発(せんぱつ)」という機能には、体内の水分を皮膚の毛穴から体外へと発散する働きがあり、衛気の働きにも深く関わっています。肺のエネルギーが不足して宣発の働きが低下すると発汗が正常に行われなくなるので、肺のエネルギーを補って発汗をサポートしましょう。やまいもは肺にエネルギーを与えて、肺の機能全般を高めてくれる食材です。
肝には気を上向き・外向きにめぐらせる「疏泄(そせつ)」という働きがあり、この肝の疏泄が肺の宣発を助けています。肺が汗を体外へと発散するのを、肝が外向きの力で後押ししているわけですね。そのため肝の疏泄を高めることも、発汗の助けとなります。ジャスミンティーやバラ茶(マイカイカ茶)、ミントティーなどを常温か温かいお茶で飲むと、肝の疏泄を高めることができます。
汗は血液から作られるため、血液の生成と血液循環をつかさどる心の働きを助けることも大切です。「50代のこよみ養生 Vol.27」でもご紹介した、心気(しんき=心のエネルギー)を補う小麦やうずらのたまごなど、心血(しんけつ=心臓や血管をめぐる血液)を補うにんじんやたまごなどを、夏の間はしっかりとるといいでしょう。
毛穴の開閉や、汗を体外へと発散する力、汗のもととなる血液の生成など、発汗に関わるさまざまな体の機能を薬膳でサポートすることで、暑熱順化がよりスムーズに行えます。熱中症対策に、ぜひ薬膳をとり入れてみてください。
画像素材/PIXTA
この記事を書いた人
国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO
健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。
Twitter:@MomoOtsubo
Website:https://toyoigaku-shizen.com/
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