【奈緒さん・ウエンツ瑛士さんインタビュー】
「戦後80年のタイミングで、この作品を演じられることが光栄」
戦後、米軍兵士と結婚して渡米した実在の日本人女性の半生を描いた舞台『WAR BRIDE -アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-』。深い絆で結ばれた夫婦を演じる奈緒さんとウエンツ瑛士さんが、作品への思いを語ってくれました。
目次
【奈緒さん・ウエンツ瑛士さんインタビュー】
「戦後80年のタイミングで、この作品を演じられることが光栄」
愛を“与える”ことが、自分たちの幸せにも、争いをなくしていくことにもつながる
——『WAR BRIDE –アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン–』は、実在する日本人女性の半生をもとにした舞台です。奈緒さんは第二次世界大戦後、日本に駐留していた米軍兵士と結婚してアメリカに渡った桂子・ハーンさん、ウエンツ瑛士さんはその夫であるフランクさんを演じます。奈緒さんは今年1月、渡米して桂子さんご本人とお会いになったそうですね。
奈緒さん(以下、奈緒) 桂子さんはとても愛が深くて、魅力にあふれた方。一緒に街を歩いて桂子さんのお知り合いの方に会うと、皆さんすごく喜ばれて、桂子さんへの思いを語ってくださるんです。あの時代に海を渡って、自分の居場所というものを自分自身で築いてこられたんだな……とあらためて気づきました。
ウエンツ瑛士(以下、ウエンツ) (フランクさんは既に他界されているため)フランクさんのことは映像でしか見たことがないのですが、桂子さんの話を奈緒さんから聞いていると、「これだけ前向きな人と一緒にいたら、きっとフランクさんもこうなるだろうな……」と想像できて。アメリカでたくさんの壁を乗り越えていく桂子さんの姿を見て、フランクさん自身も勇気をもらい、より強い絆で結ばれていったんだろうと思います。
奈緒 フランクさんはときにチャーミングにふざけて、桂子さんをたくさん笑わせてくれた方だったんだろうと思います。寂しがり屋でもあって、桂子さんが日本に一時帰国したときは、トラウマになってしまったらしくて。「次からは絶対について行く」と言っていたそうです(笑)。桂子さんと一緒にフランクさんのお墓参りにも行ったんですけど、「今は毎日お墓へ来られないから、寂しくさせてしまってごめんなさいね」と語りかけていて。本当にそこにフランクさんがいるようで、私もお墓から離れるときは後ろ髪を引かれる思いでした。
——戦後80年たった今、おふたりはこの作品に出会った意味をどう感じていらっしゃいますか?
奈緒 舞台や映画の中には、観た人が自由に受け取れる作品もありますが、今回はやはりひとつの“正しさ”というものを、みんなで届けないといけないと思います。それをすり合わせていくのが稽古場になると思います。ただ、“正しさ”を持って舞台上に立つのは、すごく怖いこと。今は「間違ってはいけない」という責任を感じています。でも、戦後80年という節目のタイミングでこのお話をいただけたことは、すごく光栄なので、当時たくさんの人が伝えたかった思いを代わりに伝えられるように頑張りたいです。
ウエンツ あらためて、人を愛することは簡単なことではないと思っていて。でもこのおふたり、とくに桂子さんは母国ではない国で好奇の目もあるなか、分け隔てなく愛を配っていた。この夫婦のように愛を与えることが、自分たちの幸せにもなり、争いをなくしていくことにつながるということを、観る人にも伝えていけたらと思っています。
——おふたりにとって、舞台の魅力はどんなところにありますか?
奈緒 私は今作で7回目の舞台になりますが、同じセリフを言っても、その日に起こることは毎日違うんですよね。これは今までご一緒した素晴らしい演出家の皆さんから学んだこと。どんどん自分の道というのを広げて、今までの作品では出したことのない声や、みんなが知らない音を届けたいと思っていて。それを稽古場で探せるといいな、と思っています。
ウエンツ 僕にとっての舞台の魅力は、まずひとつは空気感。たまにあるじゃないですか? 部屋に入った瞬間に「あれ、このふたり、喧嘩してたのかな?」と微妙な空気をみんなが感じることが。そういう空気は、舞台だからこそ作れるものですよね。台詞以外の時間が、とても大事になると思います。もうひとつの魅力は、お客さんとの対話です。「今日は暑いなか来てくれたのかな」「ゲリラ豪雨に降られたんだな」と、物語を演じながらもお客さんと対話を感じることができるのが、舞台の素敵なところ。そして、来ていただく以上は「来てよかったな」と価値を見出してもらえる舞台にしなきゃいけないと思っています。
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