【医師監修】更年期症状の実状 50代は要チェック!
閉経の前後5年ずつが、いわゆる更年期。女性ホルモンの分泌が減り、それまでのホルモンバランスではなくなることで、心身にさまざまな影響が現れる期間です。
正しく知ることで、自分の体と向き合うきっかけにしましょう。
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お話を伺ったのは・・・
桜ウィメンズクリニック院長
布田孝代先生
婦人科医。クリニックでは婦人科、乳腺外科、内科で、女性の健康管理をまるごとサポート。問診を丁寧に行い、さまざまな角度から症状の原因を探って解決を目指す。https://sakura-w.jp
閉経から10年後、骨量は20%減
女性ホルモンには、血管をしなやかに保つ、脂肪を分解しやすくする、骨の代謝を調節するなどの働きがあります。
閉経後はその保護がなくなるため、脂質異常症、動脈硬化、糖尿病、高血圧、骨粗しょう症など生活習慣病のリスクが高まります。
中でも骨量は閉経後1年に2%ずつ減少し、年々骨粗しょう症リスクが高まります。閉経後は骨密度測定を受けましょう。
メンタル不調を抱える45〜54歳の女性は85%
イライラや不安感、気分が落ち込むなどの精神不調は、ホルモンバランスの変化に脳が影響を受けるためです。
なかなか眠れない、途中で何度も目が覚めるなどの不眠症状を感じる人も気分転換できる趣味や運動をする、入浴やマッサージでリラックスする、人に相談する、漢方を用いるなどがあります(クラシエ薬品調べ)。
40〜70代の2人1人が尿もれしている
尿もれ経験のある40〜70代女性は、平均47%※。
排尿・排便の調節を担うのは骨盤の底にある骨盤底筋ですが、女性ホルモンの分泌量が減ると筋肉が弱くなるのです。
尿失禁は、くしゃみや重い荷物を持ったときにもれる腹圧性、強い尿意が我慢できない切迫性、その両方の混合性があります。対策としては、骨盤底筋トレーニングや尿もれ専用シートが有効です。
※40~70代女性1,370人(2021年5月花王調べ、出典:花王フェムケアラボ)
50代の約3人に1人が多汗・ほてりの経験あり
突然顔や上半身にかけてほてりやのぼせを感じたり、多量の汗が出たり、動悸がしたり……。
これらはホルモンの変化によって血管が拡張し、血液が急激に流れこむことで体温が上がるために起こります。
通常は一時的なもので、数分程度で治まります。
冷たい飲み物やタオルで体の内外から落ち着かせましょう。
個人差があり、逆に冷えを強く感じる人もいます(クラシエ薬品調べ)。
エクオールは2人に1人しか作れない!
エクオールとは、エストロゲンに似た働きをする成分。
大豆製品を食べると、大豆イソフラボンの一種が腸内でエクオールに変化するのですが、エクオールを生み出す腸内細菌は日本人の43.8%にしか存在しません。
世界で見るとアジアが多く、大豆食の習慣がない欧米は20〜30%にとどまります。
自らエクオールを作れない人ほど、更年期症状が重いといわれています。
イラスト/ノグチユミコ 文/髙橋千恵子
大人のおしゃれ手帖2025年5月号より抜粋
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