号泣必至の感動作! パット・ブーンニティパット監督が語る
“おばあちゃんと僕の約束”とは?
「まさか私の人生を映画にする気?」と言う祖母とある約束をしました
『おばあちゃんと僕の約束』©2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
――脚本を書くにあたり、監督はご自身のおばあさまと数か月暮らしたそうですね。
ブーンニティパット:祖母と暮らしながら、あれこれ質問して話を聞きました。たとえば、「おばあちゃんに3人の子どもがいたとして、一番目が長男で、二番目が面倒見の良い長女で、三番目がダメな息子だったら、誰が一番好き?」とか。「孫がこういう言動をしたら、おばあちゃんならどんなふうに怒る?」とか。
――本作の物語の設定そのものですね。おばあさまは映画のことを知らなかったのですか?
ブーンニティパット:はい、最初はまったく。ある日、外食に行った帰りに車の中でいろいろ聞いていたら、祖母がくるっと振り向いて、「あんた、まさか私の人生を映画にする気?」と聞いてきたんですよ。当時祖母は90歳になる少し前で、映画の製作過程に詳しいわけでもないのに、気付かれてしまいました。
――その後、どうされたのですか?
ブーンニティパット:この映画は儲からないといわれていましたし、1,000万~2,000万バーツの興行収入を上げることができればいいほうだろうと考えていました。だから、「もし、おばあちゃんの人生を参考にしたこの映画が1億バーツ以上の興行収入を上げたらお金をあげるね」と約束したんです。祖母は宝くじを買うのが好きなのですが、ほとんど当たったことがないので、映画が大ヒットしたら宝くじの一等をあげると言ったんです。映画が思いがけず大ヒットしたので、ある程度のお金をあげたら、祖母はとても幸せそうでした。
――おばあさまは今もお元気ですか? 映画をご覧になって、どのような感想をもたれたのでしょうか?
ブーンニティパット:祖母は今92歳で、元気です。タイで行われた本作の完成披露試写会にも来てくれました。上映が終わった瞬間の祖母の反応を撮ろうとカメラを向けて駆け寄ったら、劇場中の観客が泣いているなか、「ふつう」と言われました(笑)。
(監督はスマホを取り出し、試写会終了後のおばあさまの様子を映した動画を見せてくれました)
――おばあさま、満面の笑顔ですね。監督の活躍を喜んでいらっしゃる様子が伝わってきます。
ブーンニティパット:この翌朝、祖母が僕のところに来て、こう言ったんです。「映画はふつうだった。私の人生の方がもっと大変だったんだから」と。ああ、祖母はいつも予想外の答えをくれるから、僕は彼女と話すのが楽しいんだな、と実感しました。
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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