号泣必至の感動作! パット・ブーンニティパット監督が語る
“おばあちゃんと僕の約束”とは?
孫の母親の役名は、僕の母の名前と同じなんです
パット・ブーンニティパット監督。ブレスレットは、本作のスタッフが作ってくれたものだという。
――おばあちゃんの家の庭にザクロがありましたよね。実は私自身も子どもの頃は祖父母も一緒に暮らしていて、庭にザクロがあり、あの赤い実を食べていたので、とても懐かしい気持ちになりました。
ブーンニティパット:中華系タイ人にとってザクロは霊験あらたかな木で、神棚の掃除をするときに葉っぱで払うなど、厄払い的な意味があります。それに育てやすいので、タイでは庭木として広く植えられているんです。
『おばあちゃんと僕の約束』©2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
――他にも共感したシーンがたくさんありました。本作は、孫、親、祖父母、と幅広い世代の生き方や家族観を温かな視点で描いていて、多くの人が自分のこととして考えられるのではないかと思いました。『大人のおしゃれ手帖』の読者は50代の女性が多いので、ちょうどエムの母親の世代にあたり、彼女のように親の介護の問題に直面している人も少なくありません。
ブーンニティパット:この映画に登場するエムの母親・シウは50代ですが、実は私の母親も同じ名前なんです。私は母から人生のほとんどのことを学びました。母はとても優しくて素晴らしい人で、人生の手本にしてきました。自分を後回しにしても他人を思いやる母の姿を、シウというキャラクターで表現したいと思ったのです。
母シウを演じたサリンラット・トーマス。©2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
取材の終わりに、「ありがとうございます」「おつかれさまです」と日本語で挨拶をしてくれた監督。彼の穏やかで温かな雰囲気は、本作の魅力そのものでした。
タイ語通訳:高杉美和
パット・ブーンニティパット
PROFILE
1990年生まれ。タイの映画監督、脚本家。大学卒業後、ドラマシリーズの製作などを経て、映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(17年)のドラマ版リメイク「Bad Genius(英題)」(20年)の監督に抜擢される。これがきっかけとなり、『バッド・ジーニアス~』の製作陣と共に『おばあちゃんと僕の約束』(24年)で再びタッグを組み、長編映画デビューを果たす。
『おばあちゃんと僕の約束』
大学を中退してゲーム実況者を目指す青年エムは、従妹のムイが祖父から豪邸を相続したと聞き、自分も楽をして暮らしたいと画策。彼にはお粥を売って生計を立てている一人暮らしの祖母メンジュがおり、ある日、ステージ4のがんに侵されていることが判明する。エムは祖母と同居して介護をすることで相続を得ようとするが、祖母と一緒に過ごすうちにエムの気持ちが次第に変化していく……。
監督・脚本:パット・ブーンニティパット
脚本:トッサポン・ティップティンナコーン
出演:プッティポン・アッサラッタナクン(ビルキン)、ウサー・セームカム、サンヤー・クナーコン、サリンラット・トーマス、ポンサトーン・ジョンウィラート、トンタワン・タンティウェーチャクン
配給:アンプラグド
©2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
2025年6月13日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開中
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。