【高野への旅/後編】「行きたいな」と思ったときが訪れどき 金剛峯寺・奥之院で心のデトックス
お大師さまが伝えた密教の宇宙が広がる高野山
平安時代のはじめに、真言宗の開祖・弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい)が開いた高野山。その中心に位置するのが、「金剛峯寺」です。
高野山は「一山境内地(いっさんけいだいち)」と称し、いわば高野山全体がお寺。金剛峯寺は、その寺務を執り行うところなのだそう。ちょっと頭こんがらがりますね!
私は5、6回目の高野山詣でですが、毎回「おっきいな〜」とスケールの大きさに驚きます。左右に大きく広がる金剛峯寺の主殿(本坊)もとても大きい!
度重なる火災により焼失(屋根の上に大きな桶があるのも火災への備えです)と復興を繰り返したものの、近世末に再建された現在のお堂の多くは創建時の規模や形式を概ね踏襲していることから、昨年重要文化財に指定されたそう。
主殿のなかに置かれている高野杉。いったい何年モノなのでしょうか?
金剛峯寺には「山林部」という部署があり、お堂のメンテナンスに備えて高野山の木を育てているのだそう。
ちなみに、私が以前企画・制作した『とっておきの高野山 総本山 金剛峯寺 高野霊木ブレスレット BOOK』(宝島社 ※販売終了)のブレスレットには、高野山で育てられた材木「高野霊木」によって再建された中門の端材を使用しました。
高野山の植物を使ったスプレー。以前母にあげたら気に入ったようで、使い切ってしまったと言ってたので、再びおみやげに。自分用にも購入しました。
サッパリしたさわやかな香りで、リフレッシュできるんです。「お清め水」「お守り水」というネーミングもいい!
国内最大級の石庭、蟠龍庭(ばんりゅうてい)。雲海で向き合う雌雄一対の龍が、奥殿を守るように表現されているそう。
龍をあらわす花崗岩はお大師さまご誕生の地である四国、雲海をあらわす砂は京都(京都の東寺もお大師さまゆかりのお寺です)のものが使われています。写真だと分かりづらいんですが、本当に大きいんです!
茶の間の障屏画《断崖図》は、世界的に活躍する日本画家・千住博画伯の作品。このほかにも、斎藤等室(さいとうとうしつ)や山本(狩野)探斉(やまもとたんさい)の作と伝わる襖絵も。
美術館などでは横に並べられているだけですが「そっか、襖絵って、部屋にあってこそだよね」と妙に納得。空間芸術なんですよね。
囲炉裏の間の障屏画《瀧図》も、千住さんの作品。中央にあるのは、仏壇ではなく囲炉裏です。そして、現役だそうです。
私が古い社寺を訪れるときには、お供えにも注目しています。高野山では、大きめのお野菜がスパッと斜めに切られています。「なんでだろう?」と思ってしまいますが、きっと“こうするもの”と代々伝えられてきているんでしょうね。
多くの僧侶たちが寝起きしたであろうことが、大きなおくどさん(=かまど)から想像できます。こちらは使用されていないそうですが、今でも使われているかまどもあるそうです。
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