「老い」と向き合うことは生きること
歳を重ねる美しさに触れる映像作品3選
人生のなかで訪れる〝老い〟と向き合う瞬間。
どのように受け止め、何を選択することが、より良い日々につながっていくのか。
作風の違う3本から、ヒントを見つけてみて。
『104歳、哲代さんのひとり暮らし』
©『104 歳、哲代さんのひとり暮らし』
100歳を過ぎて現在進行形朗らかな日々の暮らしの記録
広島県尾道市の自然豊かな町で、100歳を超えてなおひとり暮らしをしている石井哲代さん。
小学校の教師を退職したあとは民生委員として活動し、地域の婦人たちの交流の場も立ち上げた。83歳で夫を亡くしてから、姪や近所の人たちの助けを借りて暮らす哲代さんの日々を追いかけたドキュメンタリー。
カメラが向けられたのは101歳から104歳、台所のガスはIHコンロになり、ひざの調子が悪くなって入院したりもするけれど、哲代さんはいつでもユーモアいっぱいで現在進行形。
本家に嫁ぎながら子供を授かれなかったことへの思いも笑顔で包み、周囲の人たちに何度も「ありがとう」と感謝を伝え、今を生きる。転ばないように杖を片手に後ろ向きで坂を下っていく哲代さんの暮らしの記録には、人と関わり、頼りながら、前向きに老いるためのヒントがちりばめられている。
監督:山本和宏
出演:石井哲代
シネスイッチ銀座ほかにて公開中
『サブスタンス』
©The Match Factory
老いへの恐怖と若さへの渇望暴走したその先に見えるものとは?
元人気女優のエリザベスは、レギュラー出演するエアロビクス番組からの降板を告げられる。
ショックを受けた彼女が手を染めたのは、注射一本で若返る再生医療“サブスタンス”。
彼女の背中を破って出現した美しいスーは、一躍人気者になっていく。同じ精神を分け合うふたりの間には、一週間ごとに入れ替わるというルールがあったが……。
誰しもが心の奥底に持つ老いへの恐怖心に抗いきれず、悪魔と取引をした人間の行き着く先を描いたホラー。
皮膚感覚を伴うグロテスクな描写と暴走気味の展開に驚きつつも、デミ・ムーアのハリウッド女優としてのサバイバル精神とヒロインの格闘が重なり合い、体当たりの芝居が心を動かすマジカルな瞬間が訪れる。
ありのままの私を認めて愛することが、老いと向き合う最適解なのかもしれない。
監督:コラリー・ファルジャ
出演:デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、
デニス・クエイド
TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
〈Netflix〉
『君は天国でも美しい』
天国を舞台に描かれる〝歳の差夫婦〟の暮らし
この世を去り、天国へと到着したヘスク。
好きな姿になれるこの場所で彼女が選んだのは、80歳の自分だった。理由はかつて夫が「20歳でも40歳でもきれいだったが、お前は今が一番きれいだ」と言ってくれたから。
その言葉を覚えていたからこその選択だったが、再会した夫は若い頃の姿のまま! “歳の差夫婦”の天国での暮らしが始まる。
『私の解放日誌』で多くの人の心をつかみファンを増やしたソン・ソックと、国民的な名優、キム・ヘジャが共演。彼女が主演した『まぶしくて−私たちの輝く時間−』などを手がけてきたキム・ソギュンと、脚本家のイ・ナムギュ、キム・スジンがタッグを組んだ。
誰かと一緒に年を重ねること、関係を深めていくこと。天国で新たな人生をはじめたふたりの日々を、温かいユーモアとともに描き出す。
監督:キム・ソギュン
出演:ソン・ソック、キム・ヘジャ
Netflixシリーズ『君は天国でも美しい』 独占配信中
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