【真夏の防災】
災害への備え、ここが落とし穴
地震をはじめ様々な自然災害の可能性が常に身近にある日本。
さらに、夏と冬では気候が大きく異なるため、季節で備え方も変わってきます。
高温多湿な夏に欠かせない備え、女性にとって覚えておきたい災害時の対策を防災のプロにレクチャーいただきます。
国際災害レスキューナース
辻 直美さん
育母塾代表理事。国境なき医師団を経て帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。看護師歴34年、災害レスキューナース歴30年。被災地派遣は国内外30ヵ所以上。
防災士・料理研究家
島本美由紀さん
防災士(防災食&備蓄アドバイザー)、冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー。消費者庁 食品ロス削減推進大賞委員長賞受賞。『もしもに備える!おうち備蓄と防災のアイデア帖』など著書は80冊を超える。
真夏の被災生活で起こること
夏と冬では被災時に注力すべきことが大きく変わってきます。酷暑となる夏の被災生活での注意点を知っておきましょう。
とにもかくにも熱中症対策を!
病院には行けず、命が危険になることも
災害時には停電となり、冷房が効いていない状況で過ごすことになる、という国際災害レスキューナースの辻直美さん。
暑さに加えて、災害時のトイレは凄惨な状況で“トイレに行きたくない”という気持ちから水分をとるのを躊躇してしまう人が多くいるそうです。
「今の猛暑ではあっという間に熱中症に。救急車などのインフラも混乱している状況下だとすると、せっかく助かった命が危険にさらされます。さらに水分のとり方も重要で一気に飲んではダメ。ミネラルバランスを崩し、8割近く尿で出ていってしまいます。1時間に
60㏄ を目安にちびちびと飲み、最低でも一日500mLペットボトルを2本飲んでください」
さらに夏は「エコノミークラス症候群にも注意」と辻さんは警告します。
「水分を十分にとらないと血液はドロドロに。さらに被災時はじっとしていることが多くなるため、血栓ができやすくなるんです。さらに血栓が肺や脳に飛んで肺血栓、脳梗塞になることも」
また、災害時のがれき撤去なども被災者が行うこともあり、日よけグッズなども重要です。
非常時のフェムゾーンケアを侮るなかれ
「被災生活中にフェムゾーンの衛生ケアを後回しにしがち」と辻さん。
さらに「トイレを我慢すること」によって、「膀胱炎のリスクが高まる」と注意喚起をしています。
「女性は、男性と比べて膀胱から尿道までの距離が短いためフェムゾーンの衛生状況が悪いと膀胱炎にかかりやすいんです。腎盂腎炎になってしまうと透析が必要なケースもあり、停電下では生死にかかわります」
平常時のうちにシートやスプレーなど水を必要としないフェムゾーンケアのグッズを試して選んでおき、被災生活中の衛生ケアに役立てましょう。
蚊・ノミ・ダニに悩まされる場所に避難することも
「避難所生活の場合、ウィルス感染予防の換気のため、窓を開け放していることが多く、夏は蚊よけなどの虫対策は大切」と防災士の資格を持つ島本美由紀さん。
また、避難所のスペースは限られているため倉庫など普段使われていない場所を割り当てられることもあり、高温多湿な環境でノミ、ダニなどの虫がわく可能性も大。
集団生活下では蚊取り線香などにおいや煙がでるものは使いにくく、肌にスプレーする虫よけ剤が頼みの綱。
「蚊だけでなくダニなど様々な虫を避けられるスプレーもあるので試しておきましょう」