【真夏の防災】
災害への備え、ここが落とし穴
汚物・残飯の腐敗臭、体臭からのダメージは想像以上
「被災後に断水が続いている場合、大勢の人が使う避難所のトイレは、清掃が行き届かず、においもひどい状態で使えないことが多いです。そのため避難所で生活する場合も、自宅避難の場合も、災害トイレを使うことになり、汚物のにおい対策が要になります」と辻さん。
「トイレの回数は一人あたり1日8回が目安で、最低でも10日分は対策をしておくべき」。
災害トイレをたくさんストックできない場合はペットシーツとビニール袋、そして汚物を入れ保管する消臭袋で代用できると補足します。
また、断水下では体を洗うことができないため、夏の避難生活では、消臭スプレーやドライシャンプー、拭き取りシートが必須に。
「におい対策のスプレーなどは、平常時から取り入れて使い慣れておくといいでしょう。命が助かることがもちろん先決ですが、被災後も生活は続きます。水が使えない避難所のトイレはトラウマになるほどの場所もありますし、自分や家族の体臭もお風呂に入れないときのダメージは大。におい対策をしておくことでメンタル面も健康面でも負荷が大分変わるはずです」
ゴミ収集が来るまでにはかなり時間がかかり、それまでは同じ場所に保管しなければなりません。におい対策はマスト。
食べ終わった缶詰や食器も洗えないため、悪臭はもちろんハエやコバエの温床に。
夏でも、お風呂やシャワーに入ることは叶いません。
体臭対策は自分と、まわりの人のためにも大切です。
薄着や、女性らしい下着の着用は
性被害に遭う可能性が高まります
「限られた空間で多くの人が集団で生活することになる避難所では、年齢性別を問わず性被害を受けやすくなる」と辻さんは警鐘を鳴らします。
「まず、パニック状態になっている災害時には、暴力や性暴力が増えるということを知っておきましょう。そして、避難所で生活する場合、普段よりも服装に気を付けることが重要です。
暑いからといって肌の露出の高い恰好は控え、ピンクなど女性らしい色も避けましょう。ワンピースやスカートといった服装も在宅避難なら問題ないですが、襲われやすいので避難所ではおすすめしません」
被災地で実際に多くの被害例を見てきた辻さんは、「とにかくできるだけ刺激をしないこと」と話し、レースのブラジャーやショーツなどセクシーな下着は避け、ブラトップやボクサーパンツなどシンプルでメンズライクなインナーを着用することを推奨します。
「さらに避難所でトイレに行くとき、やむを得ず夜間に出歩く際は、必ず防災用の笛や防犯ブザーを携帯すること。そして、必ず二人以上で行動するように心がけましょう」
肌の露出の多いノースリーブ、ワンピースなど女性らしい印象の服装は避けて。
避難所で普段着用しているレースなどのブラジャーやショーツを干すのはご法度。
イラスト/植松しんこ 文/坂口みずき
大人のおしゃれ手帖2025年6月号より抜粋
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