国会議員秘書からの転身。
「遅く咲くのは枯れぬ花」【それぞれの更年期】
更年期は点では終わらない
植物療法の講師を始めてからは、講義中に学びのためのハーブティーを受講生の方に出していた。
その度にゆり子さんもたっぷり飲んでいた。しかし、コロナ禍に入ったことでオンライン講義になり、ハーブティーの摂取量が減ると、更年期の不調が戻ってきたという。
「コロナ期間中は外出もしづらかったので、ボクシングジムにも行かなくなったせいもあるでしょうね。人の体は使わないといけないと痛感しました」
不調ではないが、閉経が近づいたころには、もう一人子どもが欲しくなった。
「二人目を生んでおけばよかったってすごく後悔したんです。一人と夫婦で決めて、問題なく受け入れてきたし、年齢的に出産なんてしたら肉体的には負担なのに。でもしばらくしたら、そんな後悔もなくなりました。閉経前はとくにホルモンバランスの変化で精神的に揺れるんでしょうね」
もちろん閉経後に更年期がすっぱりと終わるわけではない。さらに年を重ねていくと、思いもよらなかった出来事と出合い、心境にもさらなる変化が訪れる。数年前、同居する母のレビー小体型認知症と姉の乳がんがほぼ同時に発覚した。
そして昨年は、これから付き合いを深めていくのを楽しみにしていた人の急逝。
「とてもお洒落な母だったのに、これまでとは違ってしまって、寂しくなったりもします。同じ年齢の方が亡くなったのもすごくショックでした。でもすべて受け入れていくしかないし、そこから多くを学ばせてもらいました。私が母や姉や出会った方々にできることもたくさんありますから。おかげさまで姉は回復しています」
今は目下、断捨離中だという。
「何を捨てるか捨てないか、断捨離って体力も気力もいるんですよね。だから今のうちにやっておこうと思って。ものを減らしてバラを飾れる空間にしておきたいです」
身辺を整えながらも、新たに中国茶も学びたいという好奇心溢れるゆり子さん。The change of lifeでますます輝いていく大人の女性だ。
中国茶のほかにも、ゆり子さんがおすすめしてくれたのがチェストベリーのお茶。女性ホルモンのバランスを整え、更年期のあらゆる不調を緩和してくれる。
「授業で生徒さんにも試飲してもらっていましたが、そのときは私も調子がよかったですね。ハーブの効能はもちろんですが、お茶を楽しむ時間そのものがとても大切です」。
お茶やバラの香りは、自分だけでなく周りの人にも癒やしをくれる、ゆり子さんにとって欠かせないもの。
〜私を支えるもの〜
文筆家の伊藤緋紗子さんプロデュースのダマスクローズの精油が配合された『ネ・ラ・ローズ』を日ごろから愛用している。
「私の更年期を支えてくれたのは、このローズオイルや年上の女性との出会いです」。バラを欠かすことのないゆり子さん。テラスではバラを栽培し、室内にはバラの絵や写真を飾っている。
50代になったときに、できるだけ年齢にそぐわないことをしたいと思い、キックボクシングジムに通うようになった。
「週1回、トレーナーをつけてパーソナルトレーニングをしていますが、更年期の心身の健康に運動は欠かせませんね」
「抹茶、煎茶、英国紅茶、中国茶などが好きなので、お茶を飲む時間にとても癒やされます」。
ほかにも、お香を焚いたり、絵や陶磁器などを飾ったり、好きなものを暮らしの中に取り入れることを大切にしている。
撮影/白井裕介 聞き手・文/石田紀佳 編集/鈴木香里
※大人のおしゃれ手帖2025年6月号から抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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