【北村有起哉さんインタビュー】
「時間とともに薄れても、初心は大切に持ち続けたい」
幅広いジャンルと役柄で、存在感を発揮してきた俳優の北村有起哉さん。最新作『逆火』では、“真実”を問う助監督役を通じて、作品づくりの葛藤や家族との関係に揺れる主人公を演じています。自身の子育てについても、率直に語ってくれました。
目次
【北村有起哉さんインタビュー】
「時間とともに薄れても、初心は大切に持ち続けたい」
社会派の作品も娯楽大作も、どちらも選べることが、豊かなこと
多彩なキャラクターを演じ分け、観る人の心に強い印象を残してきた北村有起哉さん。映画『逆火』では、映画制作の現場で働く野島を演じています。彼は助監督として、ヤングケアラーの女性が綴った、自伝小説の映像化に携わることに。しかし、関係者に話を聞くうちに、美談として小説に書かれていた内容と、事実には食い違いがあることが明らかになっていきます。
このまま映画化していいのか……と葛藤する野島と、撮影を止めたくない監督やプロデューサー。ヤングケアラーに光を当てるという映画の社会的意義をとるべきか、真実を追究すべきか……。作品に込める思いの温度差は、現実の制作現場でもあるようです。
「できれば全員が同じ方向へ進んでいくのが理想ですけど、映画は3、4人で作れるものではないので。多くの人が関わるなかには、家庭がうまくいっていなかったり、経済的に困っていたり……と、事情を抱えている人もいるかもしれない。『とりあえず仕事になるなら、どんな映画でも構わない』というこだわりのない人もいるでしょうしね。でも、そういう人たちも、この業界に入った当初は、青臭い理想を絶対に持っていたはずなんです。そうじゃなければ、なぜわざわざこの世界に飛び込んできたの? って話になりますよね。初心は時間とともに薄れていくかもしれないけど、“これだけは”という気持ちは、大切にしまっておきたい。もちろん僕自身も含めてですけどね。たまに見返したら『あれ? こんなにちっちゃくなってる』と思うかもしれないけど」
劇中で制作されるような社会的なテーマを扱う作品と、エンタメ要素の強い娯楽大作。どちらにも触れられることが、俳優としても、観客としても、豊かな体験になると話します。
「作品との出合いは巡り合わせ。『僕はこういう映画しか出ません』なんて考えはまったくないし、超大作にも出たい(笑)。両方の良さを知っているほうがきっと強いし、僕は節操なくいろんなことをやって、たくさんの人に見てもらいたいんです。観る側にとっても、そのときの気分に合わせて、幅広いジャンルから選べるのが理想な気がしますね。それは映画に限らず、音楽でもアートでもそう。わかりやすいものばかりが求められると、それでいいのかな? と少し不安も感じます」
この記事を書いた人
ファッション、美容、更年期対策など、50代女性の暮らしを豊かにする記事を毎日更新中!
※記事の画像・文章の無断転載はご遠慮ください
Instagram:@osharetecho
Website:https://osharetecho.com/
お問い合わせ:osharetechoofficial@takarajimasha.co.jp