【大阪・関西万博】思わず泣いた! 河瀨直美監督パビリオン「Dialogue Theater - いのちのあかし -」レポ
世界の至る所にある「分断」を結ぶ、一期一会の「対話」
それぞれの国や地域が趣向を凝らしたパビリオンが立ち並ぶ万博会場。世界中のデザインがユニークさを競うようにギュッと一箇所でひしめいているなか、木陰にひっそり古い学校のような建物があるなぁ、とかえって目を引いたのが河瀨監督のパビリオンでした。
聞けば、廃校になった奈良県十津川村立折立中学校と京都府福知山市立細見小学校中出分校という2つの校舎を3棟の建築として生まれ変わらせたものなのだそう。
福知山の推定樹齢100年のイチョウの木や、十津川の校舎の壁に張っていたツタも建物とともに移植されたとのこと。
パビリオンの入り口でふきだしをかたどった小さなカードを受け取り、2階のホワイエヘ。カードに書かれていたのは「どうしたら、もっとやさしくなれますか? How can a person become kinder?」。
このカードに書かれている問いかけは、万博184日間の会期中、毎日異なると説明を受けました。それはつまり、“毎日が人類史上はじめての対話”となるということ。
印のあるカードが配られた来場者のなかから、今日の対話者が選ばれます。私たちは誰も当たらなかったので、その間、パビリオンの中を見学して回りました。3階の窓からは、海側の大屋根リングが見渡せます。
こちらの部屋の壁には、樹齢約400年の杉板で作られたスピーカーがしつらえられていました。そっと耳を押し当ててみると奈良・吉野で採録されたせせらぎや鳥の声が聞こえました。その木が生きてきた頃にも、こんな音を聞いていたのかもしれませんね。……しかし自撮りが下手やな、私(めっちゃ真顔)。
集合時間にホワイエに戻り、渡り廊下の向こうの対話シアターへ。今日選ばれた対話者の方が進んでいくと、スクリーンの向こうにはもう一人の対話者が。
事前募集に応募した対話者は、あらかじめワークショップを受けているそうですが、それでも本番は今日が初めて。シアター内は撮影NGのため説明しづらいのですが、気づけば涙をこぼしてしまっていました。「会話」と「対話」の明らかな違いを目の当たりにした気がします。
スタッフの方のユニフォームが可愛かったので、撮影させていただきました。吹き出しマークがビビッドなイエローのなかに飛び交うコンセプチュアルなデザインを手がけたのは、minä perhonenの皆川 明さん。ポーズもキュート。
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