【奈良のおすすめホテル】一日一客の宿「翠門亭」で人気盆栽店「塩津植物研究所」のモダン盆栽を堪能!
穏やかに、ゆっくり、じっくり。翠門亭で昼食を
後日、食事をしに翠門亭を再訪しました。私はランチをいただきましたが、ビジターでもディナーも予約が可能です。料理はコースのみで、日によりますが2〜3組ずつ受け付けているそう。端から端までこだわり抜いた空間を独り占めしたい! と、ひと組で貸し切りにしたゲストもいたそう。
お献立は月替わり。先附の水無月豆腐は、朝練って練りたてで供される、その日にしか味わえない食感。氷に見立てて角を取った、涼やかなルックス。
椀物は鱧・ズッキーニ・香味油・ぶぶあられ。鱧の骨を香ばしく焼いて取った出汁と、日本料理の椀物では珍しい香味油のネギの香りがたまりません……書いていて、過去の自分を羨んでいます。
「びっくりするほどおいしいイサキを見つけたんです!」と料理長が自信たっぷりにサーブしてくれた焼物。添えられているのは、甘長唐辛子と、紅くるり大根。確かに、イサキ、ふっわふわでした。味付けはシンプルに塩のみ、それでも十分な旨み!
食事は新生姜御飯、牛時雨煮、あおさと絹厚揚げの味噌汁と香の物。パッと華やかに生姜が香る生姜御飯のお米は“近所のもの”だそう。牛時雨煮とも、当然のことながら好相性ですとも。
菓子は「とまと」。奈良の贅沢なフルーツトマトを湯むきし、甘くなりすぎないようにコンポートにしたものを、何度も検証を重ねてベストな時間で凍らせたものなのですが、これがもう、ちゃんと「菓子」でした。写真だとただのトマトに見えますが、口に運ぶとシャリっとしたあとに、なめらかにやさしい甘さのトマトの味わいが広がりつつもトマト特有の青くささは一切なく、ただモノではない「とまと」でした。
料理長を務めるのは滋賀や京都の高級ホテルで経験を積み、地元・奈良に戻った吉住俊次さん。料理長に就任したのは初めてということで、試行錯誤を重ねながら日々料理に実直に向き合っているであろうことは、ひと皿ひと皿から感じることができるような気がしました。
わかりやすい派手さはないけれど、主に奈良の食材を使って、手間を惜しまず作られた料理を、窯元まで足を運んで選んだ器に盛る……クラス感もありながら、気立てのいいお料理でした。奈良らしさって、そういうところにあると私は思っています。
ちなみに当たり前ですが、この日、盆栽はひとつもありませんでした!
見比べてみると、いかに塩津さんの盆栽が個性を発揮しながらも住空間に馴染んでいるかが伝わるのではないでしょうか?
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