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大人のおしゃれ手帖 9月号

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大人のおしゃれ手帖
2025年9月号

2025年8月7日(木)発売
特別価格:1590円(税込)
表紙の人:木村多江さん

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【50代のこよみ養生 Vol.41】「老化の秋」が本番を迎える前に⋯⋯アンチエイジング養生でシワ・たるみ予防

TSUBO

最近、肌の乾燥や疲れを感じていませんか?
夏の間、大量の発汗と紫外線の影響で肌の水分やエネルギーが多く奪われてしまうため、この時期になると肌のカサつき、毛穴の開き、たるみなどが気になる人も多くなります。
さらにこれからは、空気が徐々に乾燥してシワが増えやすくなる季節。秋は1年で最も肌が老化しやすいときなので、「老化の秋」が本番を迎える前に、東洋医学のアンチエイジング養生で対処しておきましょう。

夏の終わりの肌は「陰(いん)」が不足している状態

夏は汗を大量にかく季節です。そのため立秋(8月7日~8月22日)の頃になると、発汗によって多くの水分を失った肌の乾燥が目立ち出すように。東洋医学では、こうした体の水分不足の状態を「陰虚(いんきょ)」と呼びます。「陰」とは血液以外の体の水分のことで、陰虚は陰が虚している、つまり陰が不足しているという意味。肌や目、のどの乾燥のほか、顔や手足のほてり、のぼせ、寝汗、乾燥による便秘などの症状がよく見られるのが特徴です。

陰虚による乾燥肌の改善にはまず、陰を補う食材を積極的にとることが大切。なかでも乾燥肌対策に適しているのは、ごま、牡蠣、クコの実、たちうお、はちみつ、白きくらげなどがあります。
また、甘酸っぱい食べ物もおすすめ。東洋医学では「酸甘化陰(さんかんかいん)」と言って、甘いものと酸っぱいものを合わせてとると体内で陰がうまれると考えます。これからの季節は甘酸っぱい果物が多く旬を迎えるので、よくとるといいでしょう。

生活養生としては、なによりも夜にしっかりと睡眠をとることが重要。陰は夜の睡眠時に体内で作られるので、夜ふかしをすればするほど陰が不足しやすくなります。また、辛いものは体を温めて体内の水分を奪うので、陰虚タイプの人は食べすぎないことも大切。サウナや長風呂などによる汗のかきすぎにも気をつけてください。

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発汗による「血(けつ≒血液)」の消耗も乾燥肌を招く

夏の発汗では汗だけでなく「血(けつ≒血液)」も失われやすく、乾燥肌はこの血の不足によっても起こります。血には肌に潤いと栄養を届ける役割がありますが、血は汗から生まれているため発汗によって血も消耗してしまうのです。血が不足した状態を「血虚(けっきょ)」と呼びます。

血虚になると肌の乾燥のほか、髪の乾燥、白髪、抜け毛、爪が割れる、めまい、不眠、視力低下、不安感などが現れやすくなります。こうした不調が見られる場合は、血を補う食材をよくとるといいでしょう。特に乾燥肌の改善が期待できるのが、にんじん、ほうれんそう、ぶどう、いか、たこなど。偏食や食事制限によるダイエットは、血の不足につながりやすいので控えましょう。また、スマホやパソコンの使いすぎで目を酷使すると血を消耗してしまうので、長時間使いすぎないように気をつけて。

血虚になると不安感が生じやすく、不安な気持ちになることでさらに血虚が悪化しやすくなります。夏から秋への変わり目であるこの時期は、ふとしたときに不安な気持ちになることも。心を安定させるために数分間静かに目をつぶって瞑想したり朝日を浴びたりすることも、血虚を防ぐ養生となります。

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毛穴の開き、肌のたるみは「気(き=エネルギー)」の不足が原因

最近になって毛穴の開きやたるみが目立ってきたという人は、夏の間の発汗によって「気(き=エネルギー)」が不足していることが原因かもしれません。気は心身の元気のもとであるほか、さまざまな働きががあるのですが、汗をかくと水分とともに気も体外へと漏れ出てしまうため大量の汗をかくと気が不足気味に。これが夏バテの一因にもなるのです。なお、気が不足した状態は「気虚(ききょ)」と呼ばれます。

気の働きには肌に関わるものも多く、そのなかには毛穴の開閉をして発汗をコントロールする働きや、皮膚や筋肉を引き締める働きなどもあります。毛穴の開閉をコントロールする気の働きは五臓と関わりが深く、毛穴を開いたり閉じたりする体表面の気は肺の呼吸と連動して活動しています。そのため、毛穴の開きが気になる場合は肺をつかさどる気を補う食材が最適。やまいも、桃、うなぎ、さば、なつめなどをよくとるといいでしょう。また、深い呼吸を意識するとより多くの気を体表面に届けられるので、毛穴の開きを改善する養生にもなります。

一方、皮膚や筋肉を引き締める気は五臓の脾(ひ=胃腸)の働きと深く関係しています。脾には皮膚や筋肉、内臓などの諸器官が重力に負けて下垂しないように支える働きがあるため、脾をつかさどる気が不足すると、皮膚や筋肉を支える働きが低下して肌のたるみが気になるように。脾をつかさどる気を補う食材である米、じゃがいも、さつまいも、牛肉、はちみつ、なつめなどをよくとって、脾の働きを充実させましょう。冷たい飲食物や脂っこい食べ物などは、脾の働きを低下させるので控えめに。また、姿勢が悪いと皮膚や筋肉を支える気の働きを妨げてしまうので、姿勢をよくすることも意識してみてください。

病気は予防が大切なのと同じように、エイジングも予防養生でシワやたるみが本格化する前に抑えるのが賢い方法。今のうちに、夏の疲れ肌を元気にリフレッシュしておきましょう!

画像素材/PIXTA

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国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライター TSUBO

国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO

健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。

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Twitter:@MomoOtsubo
Website:https://toyoigaku-shizen.com/

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