愛と自由を求めて彷徨う“美しい女性”を好演
『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタにインタビュー
『パルテノペ ナポリの宝石』
©2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathé Films - Piperfilm Srl @Glanni Fiorito
青くきらめく港町ナポリを舞台に、神秘的な美しさで人々を魅了する女性パルテノペの人生を描いた『パルテノペ ナポリの宝石』。美しさを自覚して青春を謳歌する日々が一変、喪失感のなかで自分の居場所を探し、愛と自由を求めて生きたひとりの女性の姿を、イタリアの映画監督パオロ・ソレンティーノ(『グレート・ビューティー/追憶のローマ』など)が壮大かつファンタスティックにスクリーンに焼き付けました。
「現代のヒーローは男性ではなく女性だと信じている」と語るソレンティーノ監督が、自身の作品で初めて女性を主人公にした本作は、第77回(2024年)カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された後、イタリア国内で監督史上最大のヒットを記録。女神のようなパルテノペ役を演じたセレステ・ダッラ・ポルタにも大きな注目が集まっています。
今回は、映画初出演にして初主演を果たしたセレステに、オンラインでインタビュー。“美しい女性”を演じた感想や現在の心境をうかがいました。
セレステ・ダッラ・ポルタ ©Greg Williams.
美しい女性を演じるということに対しては特に問題を感じませんでした
――主人公に抜擢された経緯を教えてください。また、役者になりたいと思ったきっかけは?
セレステ・ダッラ・ポルタ(以下、セレステ):初めての映画出演で、パオロ・ソレンティーノ監督と一緒に仕事をするという大きな幸運に恵まれました。この役のオーディションを何回も受けましたが、それ自体が私にとっては貴重な勉強の場でした。女優になりたいという思いは、子どもの頃から持っていました。
――『パルテノペ ナポリの宝石』は、ひとりの美しい女性の生き方を神話のように描いている素敵な映画だと思いました。一方、現在は、見た目の美しさを取り上げることに対して否定的な声があがることもあります。そのようななか、女性美の象徴のような役を演じるにあたり、セレステさんが意識されていたことはありますか?
セレステ:美しい女性を演じるということに対しては特に問題を感じませんでした。イタリアでは、美しい女性は男性からの視線を集めますし、開かれた扉があります。それは現実にそうなので、そこに関しては深く考えることはありませんでした。
ただ、パルテノペという役の肝となるのは、彼女が外見的な美しさを持っているということよりも、どこか謎めいたところ、惹きつける何かを持っているところ、だと思うので、そういった面を表現できるように心を配りました。
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。