「コスモス」の自然な姿から得られること【連載vol.2ー今日花(こんにちばな)通信ー】
花の魅力を届ける人・吉原友美さんが伝えたい“花”は、植物を通じて、今の自分の心と向き合う「今日花(こんにちばな)」というあり方。
花を選び、飾ることは、自分と向き合い、今の気持ちを感じ取る行為。季節を通して今日の自分にまっすぐに向き合う手段としての花が「今日花(こんにちばな)」なのだそう。
そんな吉原さんの日常と花のある暮らしを、吉原さんの言葉でお届けします。
写真/吉原友美
私が暮らしている神奈川県葉山町。
朝夕は海からの風が吹いてくるからか、これまで私が暮らしてきたほかの地域より、涼しくなるのが少し早いような気がします。
毎朝、毎夕、愛犬を連れて散歩に出かけます。8月の終わりからすでに、秋の気配を感じることがありました。
畑や川沿いには、ススキの新芽やコスモスの群生。犬と歩いていると、思わぬところで自然の植物の姿と出逢います。
私は、道端や川沿いに咲くこのコスモスが大好き。薄い花びらが光に透ける様子は、可憐で清楚な美しさがあると思います。
秋を感じ始めると、これまでの自分を振り返りたくなることがあります。
あまりに厳しい夏を乗り越えたと思ったら、「あれ、今年もあと数か月!?」とハッとして、後悔がないように日常やこころを整えていこうと思うからかもしれません。
そんなとき、お手本にしているのは、コスモスのように自然のなかでただ咲いている花の姿。自分では、動くことができない花。与えられた場所と条件で、ありのまま咲く。「本当の自分の姿ってなんだろう」「今は自分らしくいられているかな」と、凜と咲く花を見て、つい考え込んでしまいます。
無理をせず、ただそのまま咲く花の姿から、私もまた、自分を大切にして生きていきたい。
なんとなく秋風でセンチメンタルになるせいか、俯瞰して自分を見たくなるのです。
この記事を監修した人
「PAUSE」主催吉原友美
「日々の暮らしの中に、ひと休みできる時間を」
との思いから、小休止を意味する「PAUSE(パウズ)」を屋号に、花の配送、出張生花店、空間装花、ワークショップを開催。神奈川県三浦郡葉山町にアトリエをかまえ、日常と心に寄り添う花を提案する。
撮影/安彦幸枝
Instagram:@pause_story_