心に残る名作揃い! ヴェネチア国際映画祭「金獅子賞」受賞作3選
『あのこと』
© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILMS
現在、第82回ヴェネチア国際映画祭が開催中です。1932年に始まった最古の国際映画祭で、国際美術展覧会「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の一部として行われていることもあり、芸術的で作家性の高い作品が多く選出されてきました。
最優秀作品賞に選ばれた映画には「金獅子賞」が贈られ、日本映画からは黒澤明監督の『羅生門』、稲垣浩監督の『無法松の一生』、北野武監督の『HANA-BI』が、他国の作品ではルイス・ブニュエル監督の『昼顔』、ジョン・カサヴェテス監督の『グロリア』、チャン・イーモウ監督の『あの子を探して』などが受賞しています。そこで今回は、歴代「金獅子賞」受賞作のなかから、2010年以降の作品に限定して3作品を紹介。派手さはないものの、心に残る名作揃いです。
目次
女性の自由とは? 望まぬ妊娠をした大学生の戦いを描く
『あのこと』
『あのこと』© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILMS
2021年の第78回ヴェネチア国際映画祭で、審査員満場一致で金獅子賞を受賞した作品。法律で中絶が禁止されていた1960年代のフランスを舞台に、望まぬ妊娠をした大学生のアンヌ(アナマリア・ヴァルトロメイ)が自らの願う未来をつかむために、たった一人で戦う12週間が描かれています。
監督は、昨年に公開された『エマニュエル』が記憶に新しいフランスの女性監督、オードレイ・ディヴァン(『エマニュエル』インタビュー記事はこちら)。『あのこと』はディヴァン監督の長編第2作目で、アニー・エルノーの自伝的小説『事件』を映画化したもの。
『あのこと』© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILMS
成績優秀で前途有望な大学生のアンヌは、妊娠に気付いて狼狽。「妊娠したら、大学をやめて働くしかない」「刑務所に入りたいの?」といった会話が交わされる時代に、アンヌの選択はただ一つ。自らの未来のために、命がけであらゆる方法を模索します。
日が経つほどに焦り、孤立し、追い詰められていくアンヌ。その心情が、アンヌの目線を体験するかのような臨場感ある映像で描かれます。彼女の身に起きたことを自分のこととして考える、というよりも、自分のこととして体験する、といったほうがふさわしい作品で、女性の権利や自由について多くのことを考えさせられます。
『あのこと』
2021年製作
DVD ¥4,290
発売・販売元:ギャガ
© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILMS
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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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