名曲ぞろい! 映画音楽家のドキュメンタリーが公開
~愛すべき映画にはいつも彼の音楽が流れていた~
カトリーヌ・ドヌーヴの出世作、セリフを歌に乗せた画期的な作品
『シェルブールの雨傘』
『シェルブールの雨傘』©Ciné-Tamaris 1993
音楽家ミシェル・ルグランと映画監督ジャック・ドゥミは、若き日の幸運な出会いにより、互いの人生が大きく飛躍しました。そんな二人のコンビが生み出したのは、1961年の『ローラ』にはじまり、全11作品。『ミシェル・ルグラン&ジャック・ドゥミ レトロスペクティブ』では、このうち名作3作を劇場公開します。まずは、主演のカトリーヌ・ドヌーヴの出世作となった『シェルブールの雨傘』(1964年)から。
本作については以前のコラム「雨のシーンが素敵な映画3選」で紹介していますが、雨傘店の17歳の娘ジュヌヴィエーヴと自動車修理工の若者ギイの恋物語を、全編音楽のみで紡いだ画期的な作品です。セリフはすべて歌詞になっており、歌唱部分は歌手による吹替で、俳優の演技と歌声が見事に調和しています。
ぱっと花のように開く傘やファッションの色彩の美しさ、哀切漂うルグランの音楽、ビターな恋物語、映画を観る幸せを感じられる作品です。第17回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞(最高賞)を受賞。
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。