【50代の四国旅】3年に一度の「瀬戸内国際芸術祭」は秋会期が今年のラストチャンス! アート感覚の四国水族館で癒やされる♪
日本の発展を支えた瀬戸内の産業の町々でアートの息吹を感じて
珠玉の町並みとアートが出合う「本島(ほんじま)」
次に訪れた本島は、戦国時代には塩飽(しわく)水軍が本拠地とし、江戸から明治にかけては塩飽大工が活躍した島。
泊地区の民家にはタイ・バンコク出身のジャッガイ・シリブートさんが島民の皆さんから集めた古着を素材とするタペストリーなどから構成される作品《ディスパッチ》が展示されています。
本島市民センターの横にある旧本島中学校体育館では、コタケマンさんの手がける巨大な絵画作品などが《うみのえまつり》と題して展示されています。
こちらの絵画には、本島などの土が使われており、屋外で制作されたこともあり雨や風など自然の力も表現の一部になっていました。
香川県で唯一、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている笠島地区には今も立派な家並みが残されています。
その空き家全体を使ったインスタレーション作品《House of Shadows(影の家)》は、ロシア・モスクワ生まれのアーティスト、エカテリーナ・ムロムツェワさんによるもの。
本島と次に訪れた宇多津・古街(こまち)地区では、筧康明(かけひやすあき)さんによるネットワークインスタレーション《Echoes as Air Flows》が展開されています。
モニターの前のマイクのようなものにフーッと息を吹きかけると、映っている場所でシャボン玉がふわふわ〜っと飛び出す、遠隔シャボン玉。行き交う誰かが気づいてくれると楽しい!
今回の秋会期から初めて会場になった「宇多津(うたづ)」
かつては日本有数の塩の町として栄えた宇多津は、香川県のほぼ中央にある湾岸エリア。古い街並みが残る古街地区と、塩田が広がっていた臨海部を再開発した新たな町並みとが共存しています。
米蔵だった建物をリノベーションした「こめっせ宇多津」と靴を商っていた「旧三好商店」では、さまざまなメディアを使用した作品を手がけるアーティスト、シガリット・ランダウさんの出身国・イスラエルに接する死海の塩で結晶化された作品などが展示されています。
国の登録有形文化財にも指定されている「倉の館三角邸(旧堺邸)」。母屋は伝統的な日本家屋ですが、日本庭園の一角には大正ロマンを思わせるハイカラな洋館が。
その和室と茶室には、真っ青な床に塩だけで描かれた無数の泡のようなインスタレーション作品《時を紡ぐ》が展示されています。
もともと塩を素材とした表現に取り組んでいる山本基(もとい)さんが、製塩業で栄えた宇多津の歴史をバックボーンに制作したというストーリー性にも心惹かれます。
塩は固定されていないので、物を落としたりしないように細心の注意を払って鑑賞しましょう! ドキドキした〜!
シンガポールのアーティスト、ゼン・テーさんは、八幡神社と伊勢之宮神社を中心にインスタレーション《The Imperative Landscape》を展開。
ここで行われていた神事や、日が指す角度まで計算されて建てられていることなどをリサーチしたうえで構成された伊勢之宮神社での展示は、日本古来の信仰の核心を捉えたアートだと思いました。
宇多津のランドマーク・四国水族館からほど近い海辺ではアクリル製の立体作品《色のない翼の彼方》ごしに瀬戸内の島なみを一望。2022年のUBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)で大賞を受賞した西澤利高さんの作品です。
宇多津では、大人気のうどん店「本格手打うどん おか泉(せん)」で「ひや天ぶっかけ」をいただきました。店内で手打ちされている讃岐うどんはどっしり、もちもち。天ぷらもたっぷりのボリューミーなおうどんでしたが、つるつるっと美味しく完食いたしました。
ちなみに瀬戸芸の西エリア取材は、プレスツアーで訪れたので、一部の作品のみを取り上げており、移動時間もショートカットできています。おそらくご紹介した各エリアはそれぞれゆっくり回ると半日は要すると思いますので、フェリーなどの移動手段の時間とも相談しながらめぐる必要があります。訪れてみたい島や見てみたい作品、訪れる期間に開催されているイベントなどを軸に、欲張らずにめぐるのがおすすめです!
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