【人気モデル・青木沙織里さんの50代おしゃれ旅】秋冬こそ大人のオンシーズン! 旅に求める全てが揃う、和歌山県・白浜旅〈後編〉
和歌山が世界に誇る最高頭脳(ただし奇人変人) 南方熊楠の聖地「南方熊楠記念館」

みなさん、南方熊楠(みなかたくまぐす)ってご存じでしょうか。
私に熊楠の存在を教えてくれた友人のフォトグラファーの言葉を借りると「熊楠は日本っていう土地が生んだ天才なんだ。水が豊富で湿度が高い土地、植物の多様性、独特な宗教観と風俗、熊楠本人の頭脳、全て合わさって生まれた奇跡だね。日本っていう土地でなければあり得ない唯一無二の人」。まさにその通りの人です。
白浜の高台にある南方熊楠記念館の新館は、建築家の小嶋一浩氏の作品でもあるモダンなアートスポットでもあります。

慶応3年(1867)、和歌山県和歌山市に生まれた熊楠は、小学生の頃に江戸時代に作られた百科事典ともいうべき『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』の多くを知人の家に通い詰めて読みふけり、ほとんどを暗記して書き写してしまうほどの天才。
知的興味の赴くままに、生物学、博物学、民俗学、人類学、植物学、生態学などを次々と吸収し、アメリカやイギリスに渡って独学で学び続けます。東洋と西洋、どちらの知識にも触れることで、独自の哲学を築き上げるのですが、その生き方はなんというか、かなりアグレッシブ。
十数カ国語を操ったそうですが、猫語も話せたそうで、家に出入りする馴染みの猫たちを全員「ちょぼろく」と呼んでいたそうです。熊楠のおもしろすぎる人生をお伝えするのは難しいのですが、水木しげる先生が熊楠の生涯を描いた『猫楠』が一番わかりやすいと思うので、ご興味を持たれた方はぜひ!

熊楠は世界中でさまざまな植物を収集しました。『菌類図譜(きんるいずふ)』も、その成果のひとつ。キノコを丁寧に標本にし、その説明を英語で書き留めてあります。
“これ”という功績を挙げるのが難しい熊楠ですが、動物のように移動するのに子孫を残す際には植物のように動かなくなる不思議な生き物・粘菌の研究はとくに有名。なんと昭和天皇にもご進講したことが知られています。当時、天皇陛下は神さま同然の時代。そんな天皇陛下を相手に、キャラメルの箱に集めた粘菌の標本を差し出したというエピソードが残っています。ぶっ飛んでます。

写真左:意外にも写真が多く残っている熊楠と沙織里さんのツーショット。海外経験により写真の持つパブリシティ効果にも気づいていたようで、「エコロジー」という言葉をいち早く使い、自然と文化の保護運動に尽力する際にも写真を活用しました。世界遺産・熊野古道が今に残ったのも、熊楠によるところが大きいんです。
写真右:沙織里さんが眺めているのは、8mに及ぶ熊楠の手紙。内容は、熊楠の履歴書です。熊楠は手紙魔で、生涯を通じて多くの著名人と書簡を交わしています。『遠野物語』などで知られる日本民俗学の父・柳田國男は熊楠を「日本人の可能性の極限」と評しています。

「初めて熊楠さんのことを知ったけど、すっごく面白い人!」と笑う沙織里さん。記念館の屋上からは360°白浜の美しい景色を眺めることができ、気持ちのいいひとときを過ごせます。

私が前回訪れたときにはごくわずかだった熊楠グッズが、今回訪れたらバリエーション豊富になっていました。嬉しい。猫のちょぼろくバッグなど色々買い込みました。

旅のおともにもぴったりなのが、宝島社が手がける疲労回復ウェア「リカバリープロラボ」。こちらは『大人のおしゃれ手帖』監修モデルで、ルームウェアとしてはもちろん、お出かけ着にもぴったり。血行を促して疲労を軽減する、特殊な繊維で作られています。
東京・羽田からなら1時間ほどのフライトで着いてしまう白浜は、大人も楽しめる素敵なリゾートです。ぜひぜひ、旅のご計画を!
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