エレベーターのボタンを全部押さないでください
「50代はやりたいことを実現する最適な年齢」川内有緒さんインタビュー
記憶に残る旅や出会い、自由に生きることの豊かさを綴った川内有緒さんのエッセイ。
大人のおしゃれ手帖世代でもある川内さんの言葉には好奇心を力に変えるヒントが詰まっていました。
50代は、やりたいことを実現するのに最適な年代
30代で勤めていた国連機関を辞め、ノンフィクション作家へ転身。
以降、評伝や旅行記の執筆、最近は映画制作にも取り組む川内有緒さん。
「忘れがたい一夜や、記憶に残る出会いを思いつくままに綴った」と話すのが、エッセイ集『エレベーターのボタンを全部押さないでください』です。
収められたエピソードは書かれた年代も場所も異なりますが、振り返ってみるとあらゆる出会いや出来事は、自分の人生を写す縮図でもあると感じたそう。
「本の中で一番古いのは、20年前に『タラウマラ』という走る民族に会いにメキシコまで行ったときの話。興味を持ったものをどこまでも追って行くのは今も変わりません。そうやって人生は積み重なっていくんだな……という発見がありました」。
読んでいて驚かされるのは、川内さんの行動力。
50代の今は以前のように世界中を飛び回るわけではないものの、すぐに行動に移す軽やかさは健在です。
「第一歩は、まず『面白そうだな』と思えることを見つける。次は、それを実行するかどうか。『どうせ無理』と、やる前からできない理由を並べて、自分を縛っている人もいますよね。
私自身にもいろんなハードルはあるけど、昨日よりも今日、今日よりも明日が良くなるように、状況を一つひとつ変えていくしかないと思っています」
続けて、「50代は、やりたいことを実現するのにちょうどいい年代」だと川内さん。
「まだ元気もあるし、周りの目もそこまで気にならない。若い頃のように、『これからどうやって生きよう……』と模索もしなくていいからこそ、本当にやりたいことができるのだと思います」
これまでアートをはじめ、幻の吟遊詩人、山小屋づくり……と幅広いテーマで執筆してきた川内さんですが、自分の中では一貫した軸があると言います。
「本当に言いたいことは、それほど多くはないんです。それは〝みんなが楽に自由に楽しく生きられる社会〟をつくること。言葉にすると恥ずかしいけれど。
今まで書いてきたのも、自由に生きている人や、社会の中で日が当たらないけれど、人生を楽しんでいる人のこと。
今の日本は息苦しい方向へ向かっているように感じるけど、『こんなに素晴らしい生き方がある』と書き続けることで、自分が望む社会のあり方を伝えていきたいです」
この日の装いはズッカのワンピース。
「着ていてとても涼しいんですよ」。ガラスのピアスは箱根ガラスの森美術館で買ったお気に入りだそう。
『エレベーターのボタンを
全部押さないでください』
川内有緒
¥1,980(ホーム社)
『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』が話題を呼んだ著者のエッセイ集。
“ 走る民族”に会いに行ったメキシコをはじめ、世界中を旅した記憶や子ども時代の思い出、現在取り組んでいる題材などが思いのままに綴られ、読者を新しい場所へ誘います。
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