【柴咲コウさんインタビュー】
「家族の在り方は人それぞれ。その人の家族観を映し出す映画です」
“三足のわらじ”も軽やかに

実はこの作品の撮影中、柴咲さんは自身のスタイルを再構築している最中だったと言います。
「俳優、歌手のお仕事を25年以上やってきましたが、身のまわりの細かいことを定期的に見直したくなるんです。それで2016年に会社を立ち上げ、事務所から独立したのが2020年。4年ほど経った昨年、またこれまでの『当たり前』を見直したいなと思っていました。表に出る側として人の手を借りなければいけない部分はありますが、それって本当に必要なのかなって」
たとえば、移動時、スタッフではなく、自分で運転して現場に行ったりしていたのも、見直した結果のひとつ。
「私にとって休息はひとりでいることだったりもするので、自分で運転してひとりで現場に行ったりしています。それに理子の‟人に迷惑をかけたくない”という感覚が、普段の自分にも色濃く影響していたのかも。持ち物を自分で用意し、ときにはお弁当も作って、自分で運転して現場へ行く。ひとりでやってみたい、それが役作りにもつながっていたのかもしれません」
翻訳家でエッセイストの理子は、いつでも頭の中であれこれと考え、文章というカタチでアウトプットします。演じたり歌詞を書いたりするのと、「ちょっと似ている」と柴咲さん。
「以前は頭の中のものを‟調理”し過ぎて、もとの素材がわからなくなるようなところがありました。装っていた、というか。もともと正直なほうですが、今は自分の弱さや情けなさをそのままに。よりシンプルになりました。年を重ねるというのは人の目が気にならなくなるということでもあって。もういいか、みたいな(笑)」
そうして演技、作詞、歌うこと……表現の幅がさらに、確実に広がっています。
「『二足のわらじですね』とか、会社まで作って『三足ですね』と言われます(笑)。ひとりの体と心でやっているのですから、それらが影響し合うのは当然で。撮影スタッフと話したことが歌詞を書くときの参考になったり、すべてが循環しているなって思うんです」
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