美の源泉に迫るファッションデザイナーのドキュメンタリー3選
『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』
©2016 Reiner Holzemer Film-RTBF-Aminata bvba-BR-ARTE
おしゃれが楽しい季節になりました。今回は、著名なファッションデザイナーのドキュメンタリー映画を紹介します。服やアクセサリーを通じてそれぞれが持つ美の哲学を表現した彼らの生き方に、きっと感銘を受けるはず。当時のコレクションの映像なども楽しめます。
目次
信念と美しい生活が創り出す“持ち主と一緒に成長できる服”
『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』

2024年6月に自身の名を冠するブランドのデザイナー職を退任したドリス・ヴァン・ノッテン。現在、その職は新クリエイティブ・ディレクターであるジュリアン・クロスナーに引き継がれていますが、ドリス自身もブランドやアートの活動は続けているようです。
草花のモチーフや刺繍を施したエスニックなデザインで知られるドリスですが、その美しさの源泉を知ることができる貴重なドキュメンタリーが本作です。

パリのグラン・パレで開催された2015春夏レディースコレクションからオペラ座で発表した2016/17秋冬メンズコレクション直後までの約一年間、それまで一切の密着取材を断ってきたドリスに初めてカメラが迫り、ショーの舞台裏、アトリエやインドの刺繍工房など手作業の現場を映し出します。
ドリスが語る「持ち主と一緒に成長できる服」を作りたいという信念や、「自由なクリエイションのため」に広告を否定してスポンサーも持たずに独立性を保ったことなど、仕事への真摯な想いに心打たれます。

さらには、まるでお城のようなアントワープ郊外の邸宅にもカメラが入り、草花に囲まれた美しい暮らしぶりを披露。

完璧主義者で知られるドリスは庭で摘んだ草花の活け方ひとつにもこだわりますが、そんな彼を公私ともに支えるパートナーのパトリック・ファンヘルーヴェも登場し、二人の馴れ初めを語る微笑ましいシーンも。時間があれば自分たちで料理をし、花を育て、犬や小鳥もいて、旅をして、そんな日常を大切にしているからこそ、優しくて繊細なデザインが生まれるのでしょう。ただただ美しさに見入ってしまいます。

『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』
2016年製作
DVD ¥4,180
発売元:ニューセレクト
販売元:アルバトロス
©2016 Reiner Holzemer Film-RTBF-Aminata bvba-BR-ARTE
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。





